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コラム

はじめての日経学会

はじめに

この記事は、日本経済学会の大会にはじめて参加する人のためのガイドです。学部生、大学院に進学を検討している学生、若手研究者、そして経済学の研究現場を一度知っておきたい社会人を想定しています。雰囲気、会費、参加方法、発表時の注意点を、できるだけ具体的にまとめます。

学会の制度(年会費、参加費、入会要件、発表応募要件、討論者の運用など)は、年度ごとに変更される可能性があります。実際に参加・応募する際は、必ず日本経済学会の公式サイトで最新情報を確認してください。

日本経済学会とは

日本経済学会(Japanese Economic Association, JEA) は、日本の経済学者がもっとも広く参加する代表的な学会です。理論、計量、マクロ、ミクロ、労働、産業組織、行動、開発、財政、貿易など、経済学のほぼ全分野が集まる総合学会として位置づけられます。

大会は 年に2回、春と秋に開催されます。会場は大学のキャンパスが中心で、東日本と西日本の大学を持ち回りで開催校が決まる傾向があります。具体的な開催校は毎回変わるため、最新情報は公式サイトのプログラムで確認してください。

規模は大きいものの、雰囲気は落ち着いています。同じ時間帯に複数のセッションが並行で開かれ(パラレルセッション)、参加者は関心のある発表を選んで渡り歩く形が基本です。

会費と大会参加費の目安(2026年5月時点)

大会は参加費を払えば会員でなくても聴講できるのが基本です。学部生は学歴要件の関係で会員にはなれませんが、非会員として大会に参加することはできます。

以下は2026年5月時点で公式サイト・直近大会ページから確認できる情報です。金額は年度ごとに改定される可能性があるため、参加・入会前には必ず最新情報をご確認ください。

年会費(学会本体)

  • 正会員:12,000円/年
  • 学生会員:6,000円/年(大学院在籍者などが対象、在学証明書の提出が必要)
  • 賛助会員:50,000円/年(一口)

納期は毎事業年度の4月1日から10月31日までに全額納付、という運用です。

大会参加費(大会ごと)

大会参加費は、年会費とは別に 大会ごとに必要 です。直近の例として、2025年度春季大会(中京大学) の会員向け参加費は、申込時期に応じて次のように設定されていました。

  • 早期申込(4月下旬〜5月中旬):3,000円
  • 中期申込(5月中旬〜大会直前):5,000円
  • 大会当日(現金払い):10,000円

非会員にも参加枠は用意されており、会員より高めの参加費設定になるのが一般的です。2025年度秋季大会(弘前大学) でも同様に、申込時期で段階的に金額が上がる仕組みでした。金額の細部は大会ごとに異なるため、各大会の Confit ページ(2026年度春季大会 など)で確認するのが確実です。

整理すると、

  • 会員:年会費(学会本体)+大会参加費(会員価格)
  • 非会員:年会費なし/大会参加費(非会員価格)のみ

という二段構えになっています。聴講中心であれば、まずは非会員のまま大会参加費だけ払って参加する、という選択も成立します。

入会の手続きと注意点

日経学会の大会に参加するには、入会するのが基本です。個人会員の入会要件は、個人会員入会案内 で次のように示されています。

  • 大学卒業後、経済学の研究を行っていること
  • 正会員2名の推薦者があること(学生会員は推薦者になれません)

学生会員資格を希望する場合は、当該年度の在学証明書の提出が必要です。

手続きの流れは、申し込み → 会長承認(おおよそ1か月)→ 仮会員 → 会費納入 → 正会員、という順序です。承認に時間がかかるため、投稿締切の直前に入会申請をすると、会員資格の確定が間に合わず、発表応募ができなくなる可能性があります。発表したい大会が見えている場合は、1か月以上前 に手続きを始めるのが安全です。

要件の詳細は、個人会員入会案内 を必ず参照してください。

学生会員という入り方

大学院生は、学生会員 という会員ステータスも選べます。年会費が一般会員より低く設定されており、研究を本格的に始めるタイミングで加入する人が多くいます。

学生会員は 口頭報告には申し込めず、ポスターセッションでの発表のみ が認められています。また、学生による発表の場合は、指導教員の推薦が必要になります。

ポスター発表は、自分の研究をパネルにまとめて掲示し、興味を持って立ち寄った参加者に説明をしながら、適宜ディスカッションをしていくフォーマットです。

口頭報告と討論者

口頭報告のセッションには、発表者のほかに 討論者(discussant) がつくのが、経済学の学会の特徴です。

討論者は、多くの場合、報告される研究の内容を自分の言葉でまとめ直したうえでコメントを返します。聴いている側にとっても、討論者の整理を聞くことで論文の論点や貢献が把握しやすくなる、という効果があります。

口頭報告の場合、応募時に希望する討論者を2人まで指名できます。ただし、指名した先生方が実際に討論者になるかは、プログラム委員とその先生方の都合次第です。

セッションの進行と質疑応答

日経学会の大会では、同じ時間帯に多くのセッションが並行で開かれ、各セッションのなかでは3つほどの報告が行われます。1本あたりの発表時間は20分程度と短めです。

座長の進行のもとで、

  1. 発表者がスライドを通す
  2. 討論者がコメントする
  3. 発表者がそれに応答する
  4. フロアからの質疑

という流れで進むのが一般的です。経済学では、各研究機関で開催される定例のセミナーやワークショップでは発表の途中でも質問やコメントが入るのが通常ですが、日経学会の大会のように各報告の持ち時間が限られている場では、途中の割り込みは控えめになり、質疑は報告後にまとめて行うことが多いです。実際の進め方は、そのセッションの座長(チェアー)にもよります。

初参加者の歩き方

聴講者としてはじめて参加する場合の、現場での歩き方をいくつか挙げておきます。

  • 全部理解しなくてよい:プログラムは分野横断的に組まれており、専門外のセッションは細部まで追えなくて当然です
  • 興味のあるセッションを1〜2個選ぶ:1日中フル参加する必要はありません。関心のある分野に絞って深く聴くほうが学びは大きくなります
  • 教科書に載る前の研究に触れる:学会で発表される内容には、これから数年かけて学術誌に掲載されていく研究の初期段階が含まれます

細部が追えなくても、いま経済学者がどのような問いを重要視しているか、どのような手法で研究しているかの輪郭は見えてきます。

セッション中に質問やコメントができなくても、発表が終わったあとに報告者へ直接話しかけてみるのも一つの方法です。自分の研究に関心を持って声をかけてくれる人がいることは、報告者にとっても基本的に歓迎されるものです。

服装

日本経済学会の大会の服装は、基本的にカジュアルです。大学教員が普段授業をしているときの格好に近く、シャツ、ニット、スラックス、オフィスカジュアルなどが一般的です。多くの参加者は、普段の研究室の服装のまま参加します。

例外として、ジョブマーケット(就職活動)に出ている大学院生のなかには、スーツ姿で参加する人もちらほらいます。日経学会では、ジョブマーケットに出ている人はプログラム冊子の名前の横に「(J)」と表記してもらえる運用があり、リクルーター側もそれを見て声をかけやすくなっています。

全体として服装の自由度は高く、議論の中心はあくまで発表内容そのものに置かれます。

日経学会スポーツクラブ?

日経学会の大会後には、懇親のために参加者どうしでフットサルをしたり、テニスをしたりするイベントが非公式に企画されていることがあります。研究報告をして、ほかの研究報告を聞いて、大いに研究交流をしたあとに、経済学の研究者同士で一汗かいてみるのもおすすめです。

あくまで非公式のイベントなので、ウェブサイトなどに案内はありません。興味のある方は会員の知り合いに聞くなどして、イベントが企画されていないかチェックしてみてください。

まとめ

はじめて学会に参加するときは緊張するものですが、会場に行ってみると、想像していたよりも参加しやすい場であることが多いものです。経済学の研究現場を直接知る機会として、聴講だけでも十分に意味があります。

発表したい場合は、

  • 入会には推薦と事務手続きの時間がかかること
  • 投稿締切は思ったより早く来ること
  • 学生会員のステータスで応募する場合は、口頭報告ではなくポスター発表のみになること(学生でも正会員であれば口頭報告に応募できます)

の3点を、早めに公式サイトで確認しておくとスムーズです。

繰り返しになりますが、学会の制度は年度ごとに変更される可能性があります。実際に参加・応募する際には、必ず 日本経済学会の公式サイト で最新の情報を確認してください


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