The effects of hosting the Olympic and Paralympic Games on COVID-19 in Tokyo: real-time analyses and ex-post evaluation
Taisuke Nakata, Asako Chiba, Daisuke Fujii ほか
本研究は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催がCOVID-19の感染拡大に与える影響を定量的に分析したものである。この研究は、2021年5月中旬から6月中旬にかけて実施され、オリンピックに関連する外国人観光客の受け入れや競技会場への観客の入場が感染拡大に及ぼす直接的な影響は限定的であると示唆している。一方で、オリンピックによって生じた祝祭的な雰囲気が、人々の感染予防行動の低下を招く場合には、COVID-19の拡大に大きく寄与する可能性があることも指摘されている。著者らは、リアルタイム分析の結果が既存の実証的証拠と質的に一致していることを確認し、今後のパンデミックに向けた教訓についても議論している。
Does free cancer screening make a difference? Evidence from the effects of a free-coupon program in Japan
Meng Zhao
本研究は、日本における無料がん検診クーポンプログラムが、がん検診の受診率やメンタルヘルスに与える影響を分析しています。高齢化が進む中で、がんは労働生産性や医療費に重大な影響を及ぼすため、がん検診の重要性が増しています。しかし、がん検診の受診率は依然として低い地域が多く、メンタルヘルスへの影響についての理解が不足しています。著者らは、2007年から2013年までの日本の生活条件に関する総合調査データを用い、2009年に開始された無料クーポンプログラムの影響を利用して、受診率とメンタルヘルスへの影響を評価しました。プログラムにより、女性の乳がんおよび子宮頸がん検診の受診確率は約9~10%増加し、大腸がん検診の受診率は女性で約6%、男性で約3%増加しました。また、がん検診はメンタルヘルスや喫煙行動に対しても影響を与える可能性がありますが、その効果は一貫性がなく、全体としては弱いことが示されています。これにより、がん検診の普及がメンタルヘルスや健康行動に与える影響についてのさらなる研究が必要であることが示唆されます。
Quantifying the impact of the Tokyo Olympics on COVID-19 cases using synthetic control methods
Taro Esaka, Takao Fujii
本研究は、東京オリンピックの開催が東京における新規COVID-19感染者数に与えた影響を定量化することを目的としている。この研究は、オリンピック開催の影響を評価することが重要である理由として、イベントが感染拡大に寄与する可能性があることを挙げている。著者らは、合成コントロール法(SCM)およびリッジ拡張SCMを用いて、OECD諸国のCOVID-19ケースの最適加重平均を基にした反事実的な感染者数を構築し、東京の感染者数を推定した。対象期間はオリンピック開催前後であり、データは信頼性の高い公的な統計を使用している。分析の結果、オリンピック開催により、東京では人口100万人あたり105〜132件、全国では47〜65件の新規感染者が増加したことが明らかになった。この結果は、東京オリンピックの開催がCOVID-19感染の拡大に寄与した可能性を示唆している。