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日本語で読む経済学研究

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#実証分析

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JER2026年5月25日

日本のふるさと納税制度における自治体間競争の規制効果

Do caps on intergovernmental competition work? The case of Japan’s Furusato Nozei program

Yusuke Makino, Hikaru Ogawa

本研究は、日本のふるさと納税制度において、寄付を引き寄せるために自治体が提供する返礼品に関する競争を緩和するための規制の効果を検討します。この規制は一般的に競争を抑制する政策と見なされていますが、著者らは自治体の参加決定を考慮に入れると、逆に競争を促進するという意図しない結果を生む可能性があることを示しています。具体的には、自治体が寄付を競うかどうかを内生的に決定する理論モデルを開発し、規制が導入された際の自治体の対応を分析します。主な結果として、返礼品率に上限が設けられると、規制対象の自治体と非規制の自治体の両方が返礼品率を引き下げ、競争が緩和されることが確認されました。しかし、返礼品率の低下は、これまで競争を避けていた自治体に新たに競争に参加するインセンティブを与え、全体的な競争を強化する可能性があります。規制導入前後の記述データの比較から、自治体の反応が理論的予測と一致していることが示されました。

JJIE2025年12月1日

クラス閉鎖が学生の成績に与える影響:社会経済的背景による異質な効果

Do class closures affect students’ achievements? Heterogeneous effects of students’ socioeconomic backgrounds

Masato Oikawa, Ryuichi Tanaka, Shun-ichiro Bessho ほか

本研究は、クラス閉鎖が小中学生の学業成績に与える影響を、特に家庭の社会経済的背景に関連する異質な効果に焦点を当てて検討します。この研究は、東京都心部のある日本の都市における行政データを用いて、インフルエンザ流行によるクラス閉鎖が学生の言語および数学のテストスコアに与える影響を分析しました。結果として、経済的に不利な学生の数学のテストスコアに対する悪影響が確認され、その影響の大きさは科目、学年、性別、閉鎖のタイミング、そして学生の過去の学業成績によって異なることが明らかになりました。特に、経済的に不利な家庭の男子学生はクラス閉鎖に対してより敏感であり、過去の学業成績が低い学生はより深刻な悪影響を受けることが示されました。これらの悪影響は、学校内の指導時間の減少だけでなく、学習能力を低下させる可能性のある行動の変化によっても引き起こされると考えられます。また、高品質の教師が経済的に不利な学生に対するクラス閉鎖の悪影響を軽減できることも示されています。これらの結果は、学生の学習環境を保護するための公的プログラムの重要性を強調しています。

JER2025年9月4日

東京オリンピック・パラリンピック開催がCOVID-19に与える影響

The effects of hosting the Olympic and Paralympic Games on COVID-19 in Tokyo: real-time analyses and ex-post evaluation

Taisuke Nakata, Asako Chiba, Daisuke Fujii ほか

本研究は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催がCOVID-19の感染拡大に与える影響を定量的に分析したものである。この研究は、2021年5月中旬から6月中旬にかけて実施され、オリンピックに関連する外国人観光客の受け入れや競技会場への観客の入場が感染拡大に及ぼす直接的な影響は限定的であると示唆している。一方で、オリンピックによって生じた祝祭的な雰囲気が、人々の感染予防行動の低下を招く場合には、COVID-19の拡大に大きく寄与する可能性があることも指摘されている。著者らは、リアルタイム分析の結果が既存の実証的証拠と質的に一致していることを確認し、今後のパンデミックに向けた教訓についても議論している。

JJIE2025年9月1日

日本における輸出管理規制の貿易効果

The trade effects of export control regulations in Japan

Kazunobu HAYAKAWA, Fukunari KIMURA, Kenta YAMANOUCHI

本研究は、2023年7月23日に日本が導入した輸出管理規制が貿易に与える影響を実証的に検討することを目的としている。この規制は、半導体製造装置(SME)22品目と半導体検査装置(SIE)1品目の輸出を制限しており、特に中国への輸出に焦点を当てている。分析には、日本の輸出データと中国の輸入データを月次で用い、様々な要因を制御しながら推定を行った。結果として、SME製品の中には日本から中国への輸出が有意に減少したものもあれば、逆に増加したものもあった。また、SIEについては、中国側の要因を制御した場合には有意な変化は見られなかったが、日本側の要因を制御した場合には有意に増加した。これらの結果は、中国に対する輸出管理規制の貿易効果を実証的に検討する際には、可能な限り詳細な製品レベルの貿易統計を使用し、中国側の混乱要因を十分に制御することが重要であることを示唆している。

JJIE2025年6月1日

日本銀行のイールドカーブコントロール政策の実態分析

What did the Bank of Japan do under the yield curve control policy?

Shigenori Shiratsuka

本研究は、日本銀行(BOJ)が実施したイールドカーブコントロール(YCC)政策の実態を分析することを目的としています。この研究は、YCC政策が2016年9月に導入され、短期金利を-0.1%、10年物国債利回りをゼロに固定するという目標を持っていたことに着目しています。YCC政策の重要性は、低金利環境を長期間維持することにあり、特に2022年初頭までの利率安定化に成功した点にあります。データは、日本国債(JGB)市場とオーバーナイトインデックススワップ(OIS)市場から収集され、YCC政策の下での金利動向を分析するために、実証的な手法が用いられました。研究の結果、BOJはYCC政策導入時にイールドカーブを操作することで金融緩和効果を引き出す余地が非常に限られていたことが明らかになりました。また、BOJは市場の圧力に対抗するために、実際には反応的な行動として国債の直接購入を行ったことが示されています。これらの結果は、BOJが持続可能な金融政策の枠組みを導入したことを示唆しており、極めて低い金利環境を必要な限り維持することに焦点を当てていることを示しています。

JJIE2025年3月1日

日本企業における取締役会のジェンダー多様性とトークン主義

Tokenism in gender diversity on board of directors

Kan Nakajima, Yoko Shirasu, Eiji Kodera

本研究は、日本企業における取締役会のジェンダー多様性に関連するトークン主義の存在を検証することを目的としています。特に、企業統治改革の一環として導入された「日本のコーポレートガバナンス・コード」によって、女性の外部取締役の任命においてトークン主義が生じる可能性があるため、その重要性が増しています。データは、コーポレートガバナンス・コード導入後の日本企業を対象としており、特に女性外部取締役の任命に焦点を当てています。推定戦略としては、トークン主義の発生を確認するための実証分析が行われました。分析の結果、コード導入当初において、企業は形式的要件を満たすために、まず男性の外部取締役を任命し、その後に女性の取締役をトークンとして任命する傾向が見られました。しかし、経験豊富な女性取締役が任命される場合にはトークン主義は観察されず、これは彼女たちが専門知識やスキルを持つためと考えられます。この結果は、企業におけるジェンダー多様性の問題に対する新たな視点を提供し、今後の政策形成においても重要な示唆を与えています。

JER2024年8月19日

中国の伝統的男性の起業家精神:ジェンダーアイデンティティと社会資本の影響

Entrepreneurship of Chinese traditional men: gender identity, social capital and self-employment

Yucong Zhao, Bing Ye

本研究は、中国都市部における男性の起業決定に対するジェンダーアイデンティティの影響を実証的に検討し、その重要性を明らかにします。特に、伝統的なジェンダーアイデンティティが男性の起業活動に与える統計的に有意な正の影響を示しています。この研究では、起業の種類、年齢、教育レベル、婚姻状況の異なるコホートにおけるジェンダーアイデンティティの異質的効果も分析しています。データは中国の都市部に住む男性を対象とし、社会資本の観点からも実証的な証拠を探求しています。具体的には、伝統的なジェンダーアイデンティティを持つ男性は、信頼、社会的ネットワーク、親の起業家モデルなどの社会資本をより多く持つ傾向があることが示されています。これにより、男性の起業家精神におけるジェンダーの役割についての理解が深まり、政策立案や社会的支援の必要性を示唆しています。

JWE2024年3月1日

1977年から2020年における日本の銀行貸出市場の競争力の変遷

How competitiveness evolved in the Japanese bank loan market between 1977 and 2020

Tomoya Maruyama

本研究は、日本の銀行貸出市場における競争の度合いを、1977年から2020年までの長期にわたって評価することを目的としています。このテーマは、日本経済の金融システムの変化を理解する上で重要です。データは日本の銀行貸出市場から収集され、特に2000年以前の金融規制緩和の影響を考慮しています。推定戦略としては、新しい実証産業組織手法を用い、需要関数に回転項を導入したモデルを採用しています。主な結果として、1980年頃に日本の貸出市場は最も競争が少なく、その後競争が強まったことが示されています。また、2000年以降は特に全国的な存在感を持つ大都市銀行間で競争が一般的に増加しました。市場集中度、競争度、コスト効率の相関分析からは、2000年頃を除いて効率的構造仮説と一致する結果が得られました。1990年代には市場力仮説と一致する結果が見られましたが、その後は一致しなくなっています。これらの結果は、日本の銀行貸出市場の競争の進展を理解するための理論的および政策的な示唆を提供します。

JWE2024年3月1日

持続可能な企業はより革新的か?中国の事例

Are sustainable firms more innovative? The case of China

Kohei Mitsunami, Miwa Nakai

本研究は、企業の社会的責任(CSR)がイノベーション成果に与える影響を、中国における具体的な事例を通じて探求することを目的としています。CSRの影響はビジネスや市場パフォーマンスにおいて注目されていますが、イノベーションに関する研究は十分ではありません。本研究では、Orbisからの特許情報とRefinitivからのCSR測定値を用いて、企業のイノベーションの決定要因を実証的に分析しています。対象期間は明示されていませんが、得られたデータからCSRとイノベーション成果、特に特許出願数や特許取得数との間に正の関係があることが確認されました。これは先進国における結果とも一致しています。さらに、中国の経済政策や政府との関係がイノベーションパフォーマンスに与える影響についての新たな知見も提供されており、特に国有企業はもはやイノベーションにおいて相対的な優位性を持たないことが示されています。