The trade effects of export control regulations in Japan
Kazunobu HAYAKAWA, Fukunari KIMURA, Kenta YAMANOUCHI
本研究は、2023年7月23日に日本が導入した輸出管理規制が貿易に与える影響を実証的に検討することを目的としている。この規制は、半導体製造装置(SME)22品目と半導体検査装置(SIE)1品目の輸出を制限しており、特に中国への輸出に焦点を当てている。分析には、日本の輸出データと中国の輸入データを月次で用い、様々な要因を制御しながら推定を行った。結果として、SME製品の中には日本から中国への輸出が有意に減少したものもあれば、逆に増加したものもあった。また、SIEについては、中国側の要因を制御した場合には有意な変化は見られなかったが、日本側の要因を制御した場合には有意に増加した。これらの結果は、中国に対する輸出管理規制の貿易効果を実証的に検討する際には、可能な限り詳細な製品レベルの貿易統計を使用し、中国側の混乱要因を十分に制御することが重要であることを示唆している。
The impact of news shock of the openings or expansions of large-scale semiconductor plants on local labour market in Japan
Yamaguchi Akira
本研究は、日本における大規模半導体工場の開設や拡張に関するニュースショックが地域の労働市場に与える因果効果を調査することを目的としています。このテーマは、地域経済における雇用創出のメカニズムを理解する上で重要です。データは都道府県レベルで収集され、差分の差分法(DiD)を用いて分析が行われました。対象期間は具体的には示されていませんが、工場の開設や拡張に関するニュースが発表された都道府県のデータが使用されています。著者らは、投資額が相対的に小さい対照群を設定し、エンドジニティの問題に対処しました。分析の結果、大規模半導体工場の開設や拡張に関するニュースショックは、新規求人倍率を0.05〜0.08ポイント有意に増加させることが明らかになりました。また、二方向固定効果モデル(TWFE)を用いた場合に生じる治療効果の異質性によるバイアスを克服するために、Callaway and Sant’AnnaのDiD手法を用いた分析でも同様の結果が得られました。本研究は、日本における大規模工場の開設が地域労働市場に与える影響に関する文献の中で、特に不足している知見を提供するものです。
The impact of export controls on international trade: Evidence from the Japan–Korea trade dispute in semiconductor industry
Ryo Makioka, Hongyong Zhang
本研究は、2019年7月に日本政府が発表した韓国への半導体製造に必要な三つの化学物質の輸出規制が、貿易パターンに与える短期から中期の影響を探求しています。この問題は、半導体産業が国際経済において重要な役割を果たしているため、特に注目されます。データは日本と韓国間の貿易データを用い、規制対象の化学物質についての輸出入の変化を分析するために、差分の差分法を適用しました。対象期間は2019年から2020年までのデータです。研究の結果、輸出規制により、日本から韓国へのフッ化水素の輸出が大幅に減少した一方で、他の二つの化学物質、フォトレジストとフッ素ポリイミドについては影響が見られませんでした。また、韓国はフッ化水素の調達先を日本からベルギー、アメリカ、台湾など他の国に移行しました。さらに、半導体製造装置の韓国への輸入にも悪影響が及び、これは規制対象の化学物質と相補的に使用されるため、重要な示唆を提供します。これらの結果は、半導体産業における輸出規制が調達パターンや生産移転において重要な役割を果たす可能性を示唆しています。