Forward passive ownership and entry decisions by an integrated foreign firm: Cournot and Bertrand comparisons
Chuyuan Zhang, Sang-Ho Lee
本研究は、上流企業が下流企業に対して前向き受動的所有(FPO)を持つ縦の構造モデルを構築し、異なる下流競争モードにおける統合外国企業(VIF)の戦略的な参入決定に対するFPOの影響を探ります。FPOは、企業の競争戦略や市場参入において重要な要素であり、特に国際的な競争環境においてその影響を理解することは、政策決定や市場戦略にとって重要です。本研究では、Cournot競争とBertrand競争の二つのシナリオを比較し、FPOのレベルが市場参入に与える影響を分析しました。具体的には、Cournot競争下では、製品の代替性が低い場合、外国VIFは両市場に参入し、これは常に社会的に望ましい結果となりますが、代替性が高い場合は最終財市場のみに参入し、高いFPOレベルでは望ましくない可能性があります。一方、Bertrand競争下では、代替性が低い場合に両市場に参入することがあるものの、FPOレベルが十分に低いと望ましくない結果をもたらすことがあります。さらに、代替性が中程度または高い場合には、最終財市場または中間財市場のみに参入することが示されています。本研究の結果は、国内VIFや複数の上流国内企業のシナリオにおいても大部分が成立することが確認され、競争政策や企業戦略の設計における示唆を提供します。
Price and quantity competition in a Hotelling linear market model with network connectivity: in support of Singh and Vives (1984)
Tsuyoshi Toshimitsu
本研究は、ホテリング線形市場モデルにネットワーク外部性を導入し、部分的市場カバレッジの下でのベルトラン均衡とクールノー均衡の利益順位および社会的効率性を再考察します。特にネットワーク製品間の接続性の役割に焦点を当て、著者らは、接続性が強い場合には企業が価格契約を選択し、接続性が弱い場合には数量契約を選択することを示しています。また、接続性が大きい場合には社会的効率が達成される一方で、接続性が中程度の場合には社会的に非効率的な状況が生じることが明らかにされます。これにより、シンとビベス(1984)の結果がネットワーク外部性の影響を受けないことが示唆されます。
Towards sustainable floral business in Japan: Evidence from dynamic demand system between domestic and imported cut flowers
Chun-Fu Hsu, Cho-Han Su, Kuo-I Chang
本研究は、日本におけるカットフラワーの需要構造を明らかにし、持続可能な花卉ビジネスの促進に向けた政策の効果を検討することを目的としています。特に、国内生産の減少と安定した需要の間にある供給ギャップに対処するため、輸入の影響を評価することが重要です。著者らは、2002年1月から2021年12月までの輸入および家庭消費に関する調査データを用い、動的EC-AIDSモデルを適用して、国内外のカットフラワー間の支出弾力性、自己価格弾力性、交差価格弾力性を推定しました。主な結果として、2014年以降に施行された国内花卉ビジネス促進政策は、輸入花卉と国内花卉の需要構造に有意な影響を及ぼさなかったことが示されました。また、国内カットフラワーは主要な輸入元国からの花卉の代替品であるものの、代替の程度は限られていることが確認されました。特に、蘭の補完的関係や、チューリップの支出弾力性が2.62であることから、日本市場における持続可能な可能性が示唆されています。
The heterogeneous determinants of coagglomeration: a differenced perspective
Kristian Behrens, Rachel Guillain
本研究は、産業ペアの共集積パターンとそのビジネス機能の配置(管理、研究開発、生産など)を同時に考慮することで、集積の決定要因をより明確に特定することを目的としています。この研究は、産業ペア間の異質性を活用する重要性を示しており、特に生産の共集積はバイヤー・サプライヤーのリンクや労働市場のプーリングに敏感である一方、管理および研究開発の共集積は共有知識により影響を受けやすいことが示されています。データは、特定の産業ペアを対象にしており、推定戦略としては共集積のメカニズムを分析するための回帰モデルが使用されています。具体的には、知識を共有する産業ペアは、知識集約型ビジネス機能をより多く共集積する傾向があり、バイヤー・サプライヤーのリンクが強く、労働力が類似している産業ペアは、生産ビジネス機能をより共集積することが確認されました。また、高い輸送コストは共集積を減少させる要因であり、マルチユニット企業が少ない場合には、投入・産出リンクや知識のスピルオーバーがより重要であることが示唆されています。これにより、産業集積の理解が深まり、政策立案における産業間の相互作用を考慮することの重要性が強調されています。
Cross-border technology licensing with R&D Opportunity and Government Intervention
Jota Ishikawa, Toshihiro Okubo
本研究は、技術保有者がライセンス契約を通じて競争相手の自社研究開発(R&D)を抑制する戦略的インセンティブを持つ可能性を探求します。この問題は、外国企業から国内企業への技術ライセンスに関するシンプルなモデルを用いて分析され、国内企業が市場に参入するための代替手段としてのR&Dの役割に焦点を当てています。著者らは、異なる商品と二部料金制を考慮し、最適なライセンス料を導出します。ライセンス契約は、固定料金のみによるもの、ロイヤリティのみによるもの、固定料金とロイヤリティの組み合わせの3種類が考えられます。さらに、国内政府の介入、具体的にはロイヤリティに対する源泉徴収税とR&D助成金についても検討されます。源泉徴収税は、国内企業や消費者に負担をかけることなく、国内福祉を改善する可能性があります。また、R&D助成金を約束することで、政府はライセンス料をコストなしで引き下げることができると示唆されています。
Aggregate implications of changing industrial trends in Japan
Toyoichiro Shirota, Satoshi Tsuchida
本研究は、日本のGDP成長率の長期的な低下傾向が、全産業に共通する要因によるものか、あるいは個別の産業特有の要因によるものかを検討しています。この問題は、日本経済の持続的成長に関する理解を深めるために重要です。研究では、1958年から2019年までの日本のデータを用い、マルチ産業ネットワークモデルを適用しました。分析の結果、共通要因が日本の長期的なGDP成長率の変動の約60%を説明していることが明らかになりました。この数値は、米国における共通要因の寄与が約20%であることと対照的です。しかし、産業特有の要因も無視できない影響を持ち、特に機械産業に関連する要因が過去20年間の低成長を大きく説明しています。さらに、個別産業から全体のGDPへの波及効果は、各産業の生産および投資ネットワークにおける役割に依存し、日本では機械産業や建設業などの投資関連産業の影響が顕著であることが示されました。
How competitiveness evolved in the Japanese bank loan market between 1977 and 2020
Tomoya Maruyama
本研究は、日本の銀行貸出市場における競争の度合いを、1977年から2020年までの長期にわたって評価することを目的としています。このテーマは、日本経済の金融システムの変化を理解する上で重要です。データは日本の銀行貸出市場から収集され、特に2000年以前の金融規制緩和の影響を考慮しています。推定戦略としては、新しい実証産業組織手法を用い、需要関数に回転項を導入したモデルを採用しています。主な結果として、1980年頃に日本の貸出市場は最も競争が少なく、その後競争が強まったことが示されています。また、2000年以降は特に全国的な存在感を持つ大都市銀行間で競争が一般的に増加しました。市場集中度、競争度、コスト効率の相関分析からは、2000年頃を除いて効率的構造仮説と一致する結果が得られました。1990年代には市場力仮説と一致する結果が見られましたが、その後は一致しなくなっています。これらの結果は、日本の銀行貸出市場の競争の進展を理解するための理論的および政策的な示唆を提供します。