Can child benefit reductions increase maternal employment? Evidence from Japan
Shinsuke Asakawa, Masaru Sasaki
本研究は、2012年4月に日本で実施された子ども手当(CB)の収入基準の再設定が、母親の労働市場参加、保育サービスの利用、子どもの健康に与える影響を評価することを目的としています。この研究では、21世紀の新生児に関する縦断調査データを用い、回帰不連続デザインを採用しました。結果として、収入が基準を超える世帯におけるCBの減額が、特にパートタイム労働者や自営業者の母親の労働供給を促進し、母親が非認可の保育サービスを利用するようになったことが明らかになりました。また、子どもの健康には影響が見られませんでした。特に認可保育施設が少ない都道府県では、CBの減額を受けた母親が非認可の保育を利用してフルタイムの就業を開始する傾向が見られました。これらの結果は、CBの減額が母親の就業を促す効果があることを示唆しており、保育施設が不足している地域では認可保育所の増加や非認可保育サービスの価格引き下げが、母親の職場復帰を容易にする可能性があることを示しています。
Displacement effects of public libraries
Kyogo Kanazawa, Kohei Kawaguchi
本研究は、公共図書館での無料貸出が書店の売上に与える影響を明らかにすることを目的としています。この問題は、著者が新たな作品を創作するインセンティブを維持するために重要です。著者らは、日本における書店の販売データと公共図書館の蔵書データを統合した新しいデータセットを作成し、公共図書館の影響を定量化しました。推定戦略として、タイトルと自治体、出版後の月数、自治体ごとの未観測の異質性を制御するモデルを用いました。研究の結果、人気書籍の中で、図書館の蔵書はそのタイトルの月間売上を約0.24部、ベストセラーでは0.52部減少させることが確認されました。これらの結果は、様々なロバストネスチェックによっても支持され、人気書籍における公共図書館の販売への影響が確認されました。これにより、公共図書館の存在が書店の売上に与える影響を理解することができ、著作権や著者へのインセンティブに関する政策的な議論に寄与する可能性があります。
Quantifying the impact of the Tokyo Olympics on COVID-19 cases using synthetic control methods
Taro Esaka, Takao Fujii
本研究は、東京オリンピックの開催が東京における新規COVID-19感染者数に与えた影響を定量化することを目的としている。この研究は、オリンピック開催の影響を評価することが重要である理由として、イベントが感染拡大に寄与する可能性があることを挙げている。著者らは、合成コントロール法(SCM)およびリッジ拡張SCMを用いて、OECD諸国のCOVID-19ケースの最適加重平均を基にした反事実的な感染者数を構築し、東京の感染者数を推定した。対象期間はオリンピック開催前後であり、データは信頼性の高い公的な統計を使用している。分析の結果、オリンピック開催により、東京では人口100万人あたり105〜132件、全国では47〜65件の新規感染者が増加したことが明らかになった。この結果は、東京オリンピックの開催がCOVID-19感染の拡大に寄与した可能性を示唆している。