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#労働経済学

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JJIE2026年6月1日

家族介護の労働市場への影響:子育てと高齢者介護の比較

Who bears the burden? Heterogeneous labor market penalties of child and eldercare

Shinnosuke Kikuchi

本研究は、家族介護が労働市場に与える影響を調査し、特に子育てと高齢者介護に焦点を当てています。このテーマは、労働市場における性別の不平等や家族の役割が経済に与える影響を理解する上で重要です。著者は、日本の大規模なパネルデータを用い、イベントスタディデザインを採用して、介護の影響を時間的に分析しています。対象期間は、出産前後の5年間にわたり、サンプルには多様な職業や契約形態の女性が含まれています。 主な結果として、著者は出産後の女性の雇用が36ポイント減少し、5年後でも約19ポイント低い水準に留まることを発見しました。この影響は職業の特性や契約形態、同居状況によって異なり、かなりの不均一性が見られます。一方、高齢者介護の影響は、平均して最大5ポイントと小さく、統計的に有意ではない場合が多いですが、特定の事前特性を持つ女性に対しては、最大10ポイントの有意なペナルティが観察されました。具体的には、テレワークが難しい職業や身体的接触が多い職業、非正規契約の女性、小規模企業に勤務する女性において顕著です。 この研究は、家族介護が女性の労働市場に与える影響の多様性を示しており、政策立案者に対して、介護支援政策や労働市場の柔軟性を考慮する重要性を強調しています。また、既存の研究に対しても新たな視点を提供し、性別による労働市場の格差についての理解を深めるものです。

JJIE2026年6月1日

日本における高学歴女性の労働市場成果:専攻分野とSTEM学位の役割

Labor Market Outcomes of Highly Educated Women in Japan: The Role of Field of Study and STEM Degrees

Yuko Ueno, Emiko Usui

本研究は、日本における高学歴女性の労働市場成果における性別の違いを探求し、特に専攻分野による異質性に焦点を当てています。データは日本の雇用動態パネル調査(JPSED)から取得し、対象期間は卒業から6年から10年後のデータを使用しています。推定戦略には、性別、学位、専攻分野を考慮した回帰分析が含まれています。主な結果として、STEM学位を持つ女性は、卒業時には同等の収入を得ているものの、6年から10年後には男性と比較して24.4%の賃金格差が生じることが明らかになりました。また、母親に対するペナルティが特に大きく、子供のいない女性でも依然として大きな格差が見られます。専攻分野による違いも顕著であり、STEMの学士号を持つ女性は、高校または短大の学位を持つ男性よりも収入が低い一方で、STEMの大学院学位や医学・薬学の学位を持つ女性は、高校または短大の学位を持つ男性よりも高い収入を得ています。これらの結果は、家族の責任が重要な要因であることを示唆する一方で、女性に対する構造的な障壁も持続的な性別格差に寄与していることを示しています。

JJIE2026年3月1日

日本の民間求人プラットフォームにおけるマッチング効率と弾力性の非パラメトリック推定

Nonparametric estimation of matching efficiency and elasticity on a private on-the-job search platform: Evidence from Japan, 2014–2024

Suguru Otani

本研究は、日本の民間求人プラットフォームにおける高技能労働者のマッチング効率と弾力性を非パラメトリック手法を用いて推定することを目的としています。この研究は、求人市場におけるマッチングの動態を理解する上で重要であり、特に民間と公的な求人プラットフォームの違いを明らかにすることが期待されます。著者は、2014年から2024年までのBizReachの独自データを使用し、LangeとPapageorgiou(2020)の非パラメトリックアプローチに基づいてマッチング関数を推定しました。推定の結果、民間プラットフォームのマッチング効率は公的なHello Workと比較して、より高く、かつ変動が大きいことが示されました。具体的には、ユーザーに対するマッチングの弾力性は約0.75であり、求人に対しては1.0に達し、Hello Workよりもバランスの取れた弾力性を示しています。また、業界レベルでの異質性も明らかにされ、セクターごとのマッチングダイナミクスの違いが浮き彫りになりました。これらの結果は、日本におけるHello Workの改革と関連付けられ、政策的な示唆を提供しています。