Immigration enforcement and minimum wage policy in a search-theoretic model of crime and unemployment
Kaz Miyagiwa, Yunyun Wan
本研究は、非正規移民が存在する地域経済における移民政策と最低賃金が失業と犯罪に与える影響を探求しています。この問題は、移民の雇用状況や地域経済の安定性に深く関わるため、重要な意義を持ちます。著者らは、失業が検索摩擦から生じ、犯罪が失業者による偶発的な機会から発生するという前提のもと、連続時間モデルを構築しました。このモデルでは、ネイティブのための法定最低賃金と移民のための交渉賃金という二重の賃金設定メカニズムが特徴です。主な結果として、犯罪歴のある不法移民の強制送還を増やすことで、地域の失業率が一貫して低下することが示されました。ただし、犯罪への影響は条件付きであり、ネイティブ労働者を雇用する方が移民を雇用するよりも利益が高い場合に限り、犯罪活動が減少します。また、最低賃金の引き上げは失業率には影響を与えないものの、同様の利益条件下で犯罪を減少させることが示されています。一方で、企業が移民を雇用する方が利益が高い場合、これらの政策は逆効果をもたらし、移民による犯罪が増加する可能性があります。これにより、移民政策と最低賃金政策の設計において、経済的な利益構造を考慮する必要性が浮き彫りになっています。
Social integration of immigrants in cities: theory and evidence from the European Social Survey
Hiroyuki Matsuyama, Chigusa Okamoto, Yasuhiro Sato
本研究は、移民と地元住民が互いの文化や規範を受け入れるかどうかを決定する過程をモデル化し、移民の社会統合に関する条件を探求します。このテーマは、移民の社会的統合が経済成長や地域社会の安定に寄与するため、重要です。データは欧州社会調査から取得され、対象は複数の欧州都市における移民と地元住民の相互作用です。著者らは、社会統合が大都市において高まる条件を示し、文化的受容が集積経済の恩恵をもたらす一方で、コミュニケーションコストが増加することを明らかにしました。具体的には、移民の社会統合が進むことで、経済的な効率性が向上することが示されました。これにより、政策担当者は移民政策の設計において、文化的受容を促進する施策の重要性を再認識する必要があります。
Global competition and labor-intensive production in SMEs: Firm-level evidence from Japan at the threshold of the lost decades
Yuki HASHIMOTO
本研究は、グローバル競争の認識が日本の製造業中小企業の再編計画に与える影響を分析することを目的としている。このテーマは、特に1990年代後半の日本において、経済的な停滞と労働市場の変化が同時に進行していたため、重要な意義を持つ。著者らは、当時の製造業中小企業を対象とした企業レベルの調査データを用い、企業が感じるグローバル競争の強度が低技能の移民労働者の雇用に対する意向に与える影響を検討した。推定戦略としては、企業の競争認識と雇用意向の関連性を分析する回帰モデルを採用している。主な結果として、強いグローバル競争を感じる中小企業は、研究開発投資を増加させることには消極的であるにもかかわらず、低技能移民を雇用する意向が高まることが示された。また、若年労働者の定着の難しさが、移民労働者の雇用意向とグローバル競争の認識との関係を部分的に媒介していることも明らかになった。これにより、著者らは中小企業が労働集約的な組織へとシフトしていることを示唆しており、政策的には、移民政策や労働市場の構造的な変化に対する理解を深める必要があることを指摘している。