Knowledge creation through multimodal communication
Marcus Berliant, Masahisa Fujita
本研究は、知識創造が単独または他者との共同作業を通じて、対面またはインターネットを介して行われる際のプロセスを分析します。このテーマは、特にパンデミックによる対面コミュニケーションの制限が知識創造に与える影響を考察する上で重要です。著者らは、知識の形式的側面だけでなく、暗黙の知識も知識生産プロセスにおいて重要な役割を果たすことを指摘しています。研究では、労働者がコミュニケーションの手段を内生的に選択できるように、概念的および技術的なフェーズを分析しています。データは、対面コミュニケーションのリードタイムが最適なコミュニケーションモードの選択に与える影響を示すものであり、効率的でない「シンクポイント」の存在が指摘されます。これにより、知識創造におけるコミュニケーションの選択肢がどのように変化するかを理解する手助けとなります。
The role of human interaction in innovation: evidence from the 1918 influenza pandemic in Japan
Hiroyasu Inoue, Kentaro Nakajima, Tetsuji Okazaki ほか
本研究は、1918年から1921年の日本におけるインフルエンザパンデミックがイノベーションに与える人間の相互作用の役割を実証的に検討しています。このパンデミックは、発明者間の相互作用コストを著しく増加させました。著者らは、この期間の独自の特許文献データを用いて、特に協力的な発明が求められる技術におけるイノベーションへの影響を推定しています。具体的には、パンデミック前に協力的特許の割合が高い特許技術クラスを「協力集中型技術」と定義し、差分の差分(DID)アプローチを用いてその影響を評価しました。結果として、パンデミック期間中、協力集中型技術の特許出願が対照群に比べて有意に減少し、パンデミック終了後も完全には回復しなかったことが明らかになりました。さらに、この負の影響は、新たに特許出願を行う発明者の減少によって引き起こされていることが示されました。これらの結果は、発明者のキャリア初期段階における同僚や先輩との相互作用の減少が、新たな発明者を育成する機会を減少させることを示唆しています。
Ex-ante and ex-post evaluation of zombie firms arising from the EAS program during the COVID-19 pandemic: A study of Japanese SMEs
Akira Fukuda, Isamu Yamamoto
本研究は、COVID-19パンデミック中に日本政府が前例のない規模で拡充した雇用調整助成金(EAS)の事前および事後評価を行うことを目的としています。この評価は、企業レベルの調査から得られたユニークな月次データを用いて、EASを申請した企業のタイプとその後の業績の推移を分析しています。研究の重要な貢献は、パンデミック期間中の約2年間にわたるEASの企業業績に対する事後評価を提供することです。研究結果によると、EASを申請した企業の大多数はパンデミック前にはゾンビ企業ではなかったものの、その後の売上は非申請企業に比べて大幅に低下しました。この傾向は2021年に顕著であり、特に困難な業種の小規模企業において、追加支援を受けない限り、経済回復期でも売上が低迷しました。これらの結果は、初期の大規模助成金がパンデミック中の困難な企業のゾンビ化を防ぐことに成功しなかったことを示唆しています。
Expenditure responses to the COVID-19 pandemic
Junichi Kikuchi, Ryoya Nagao, Yoshiyuki Nakazono
本研究は、COVID-19の感染拡大が消費者の支出パターンにどのような影響を与えたかを検討しています。このテーマは、パンデミックが世代間で異なる消費行動を引き起こす可能性があるため、重要です。著者らは、特に高齢者と若年層の消費支出の違いに注目しました。データは、COVID-19の影響を受けた期間における消費支出に関するもので、具体的なサンプルは明示されていませんが、年代別の分析が行われています。推定戦略としては、世代間の消費支出の変化を比較する手法が用いられています。主な結果として、60歳以上の高齢者は、パンデミック中に若年層に比べて少なくとも5%の支出減少が見られ、特に食料品や飲料に関しては13%の減少が観察されました。また、高齢者は買い物を控え、若年層にその機会を譲る傾向があることも示されています。これらの結果は、COVID-19感染への恐怖が高齢者の消費行動に影響を与えている可能性を示唆しており、今後の消費行動の理解において重要な示唆を提供します。