エコノメディア

日本語で読む経済学研究

Tag

#一般均衡モデル

4

JJIE2025年12月1日

高齢化する日本における年金改革: 福祉と人口動態の分析

Pension reform for an aging Japan: Welfare and demographic dynamics

Akira Okamoto

本研究は、日本における年金受給開始年齢の引き上げが個人の福祉や将来の人口動態に与える影響を探ることを目的としています。日本は他の先進国に比べて平均寿命が長い一方で、年金受給開始年齢は65歳に設定されています。この問題は高齢化社会において重要であり、持続可能な年金制度の確立に寄与する可能性があります。本研究では、内生的な出生率を考慮した拡張ライフサイクル一般均衡モデルを用いてシミュレーション分析を行っています。対象期間は明示されていませんが、モデルに基づく推定結果が示されています。シミュレーションの結果、年金受給開始年齢を68歳または70歳に引き上げることで、1人当たりの福祉が増加することが分かりました。特に、65歳以上の高齢者の雇用率が高まるほど、1人当たりの福祉と将来の人口水準が向上することが示されています。一方で、現在の雇用率52%を維持すると、長期的には人口が減少する可能性があることも指摘されています。これらの結果は、高齢者の雇用率を向上させることの重要性を示し、年金受給開始年齢の引き上げと併せて政策的な対応が求められることを示唆しています。

JER2025年2月13日

家族政策のマクロ経済的および福祉的効果:現金給付と現物給付の比較

Macroeconomic and welfare effects of family policy: cash transfers vs in-kind benefits

Reona Hagiwara

本研究は、先進国、特に日本において重要な課題である出生率の向上を目的とし、現金給付(CB)と現物給付(IB)の二つの育児政策が出生率、労働供給、福祉に与える影響を比較・評価します。著者は日本経済における内生的な出生率を考慮した一般均衡オーバーラッピング世代モデルを開発し、単身世帯と既婚世帯の両方を含めて分析を行いました。モデルでは、既婚カップルが直面する子供の数量と質、育児時間と労働時間のトレードオフを考慮しています。シミュレーションの結果、両方の育児給付が出生率を向上させることが示され、人口動態の変化は将来の世帯に対する福祉の向上をもたらすことが確認されました。特にIBは女性の労働供給を増加させるため、これらのポジティブな効果はIBの方が大きいとされています。教育水準が高く子供を持つ機会費用が高いカップルにとってはIBが、教育水準が低いカップルにとってはCBがより効果的であることが示唆されています。

JJIE2024年9月1日

子ども手当のマクロ経済分析:出生率、人口構造、福祉の関連性

Macroeconomic analysis of the child benefit: Fertility, demographic structure, and welfare

Kanato Nakakuni

本研究は、子ども手当がマクロ経済と福祉に与える影響を、出生選択を考慮した一般均衡オーバーラッピング世代モデルを用いて検討します。このモデルは日本に合わせてキャリブレーションされており、出生率に対する手当の弾力性は実証的な推定値と一致しています。子ども一人当たりの支給額を拡大することで、長期的均衡において将来世代の福祉が向上することが示されています。特に、子どもを持たない人々にも福祉の向上が及ぶ点が注目されます。出生率の向上とそれに伴う人口変化が結果に寄与しており、これには複数の経路が存在します。ただし、新たな均衡に達するまでには約100年を要し、人口変化には十分な移行期間が必要です。このため、福祉の向上は徐々に進行し、時間がかかることが示されています。

JWE2024年6月1日

EUの炭素国境調整メカニズムが日本経済に与える影響の分析

A computable general equilibrium analysis of the EU CBAM for the Japanese economy

Shiro Takeda, Toshi H. Arimura

本研究は、EUが導入を計画している炭素国境調整メカニズム(CBAM)が日本経済に与える経済的および環境的影響を定量的に分析することを目的としています。この問題は、日本の産業や経済に対する懸念を引き起こしており、重要な政策課題となっています。著者らは、18のセクターと17の地域を持つグローバルな多地域・多セクターの計算可能一般均衡モデルを用いて、CBAMの効果を評価しました。分析の結果、CBAMの導入はEUからの炭素漏れを有意に減少させることが確認されました。また、CBAMの導入が各国のGDPや福祉に与える影響は国によって異なるものの、一般的には非常に小さいことが示されました。特に、日本においてはGDPや福祉に対してわずかながらも正の影響がある一方で、その影響の大きさは非常に小さいことが明らかになりました。さらに、日本のエネルギー集約型および貿易曝露型産業(EITE産業)にはわずかながら負の影響があるものの、その影響も大きな懸念には至らないとされています。これにより、CBAMの導入に対する日本の政策立案者は、影響の小ささを考慮に入れた上での対応が求められます。