Impact of diseconomy of mixed land-use on factory land redevelopment in large urban area: Evidence from Japan
Shinya Fukui, Dung Anh Luong
本研究は、大都市における工場用地の再開発における混合土地利用の非経済性の影響を探ることを目的としています。工場用地は、住宅や商業施設に転用される可能性が高く、工場の立地が難しくなっています。この問題は、都市計画や経済発展において重要な課題です。著者らは、日本の大阪市における1,824件の土地利用データを用い、2013年から2018年までの期間にわたって推定を行いました。推定戦略には、再開発理論に基づくモデルが採用されています。主な結果として、混合土地利用の非経済性が工場用地の再開発に大きな影響を与えることが示されました。また、ゾーニング地区の緩い規制や工場の地域経済性の欠如も、工場用地の再開発を促進する要因として特定されました。これらの知見は、都市計画や土地利用政策における重要な示唆を提供し、工場用地の持続可能な利用に向けた戦略の再考を促すものです。
Cross-country differences in the effects of monetary policy shocks on output and prices and their determinants
Geunhyung Yim, Seungho Nah, Daun Oh
本研究は、19カ国を対象に金融政策ショックが生産と価格に与える影響に国別の違いが存在するかを検討し、その違いを生じさせる国の特性を明らかにすることを目的としています。この研究は、金融政策の影響を理解する上で重要であり、国ごとの経済政策の設計に寄与する可能性があります。使用したデータは、各国の産業生産指数と消費者物価指数で、推定にはサイン制約付きベクトル自己回帰(VAR)モデルと第二段階回帰を用いました。主な結果として、金融政策ショックの大きさが同じでも、国によって出力と価格への影響に顕著な違いが見られることが示されました。具体的には、25ベーシスポイントの政策金利引き下げに対する産業生産指数の最大反応は、減少から3%以上の増加まで幅があり、平均で1〜2%の増加が見られました。消費者物価指数の反応も、0.3%から約2%の増加まで幅があり、平均で0.9%の増加が観察されました。さらに、回帰分析の結果、金融政策フレームワークや為替レートの柔軟性、人口の高齢化、労働市場の硬直性など、さまざまな国の特性が金融政策ショックへの反応の違いを生じさせる要因であることが明らかになりました。
Stock market response to public investment under the zero lower bound: Cross-industry evidence from Japan
Tomomi Miyazaki, Kazuki Hiraga, Masafumi Kozuka
本研究は、ゼロ金利制約(ZLB)と非ZLB期間における公共投資が株式市場に与える影響を、日本の産業別パネルデータを用いて検討しています。このテーマは、経済が流動性の罠にある際に、政府の公共投資が株式市場を刺激する可能性を理解する上で重要です。データは日本の産業別パネルを用い、対象期間はZLBと非ZLBの両方にわたります。推定戦略としては、インパルス応答関数を用いて公共投資ショックの影響を評価しています。主な結果として、ZLB期間中には公共投資ショックが株式リターンに対して刺激的な効果を持つことが示されましたが、非ZLB期間ではその効果は見られません。特に製造業においては、モデルの仕様にかかわらず、ポジティブで有意な応答が観察されました。これらの結果は、政府がZLB下で公共投資を増加させることが株式市場を支えるために推奨される一方、経済が流動性の罠から脱出した際には公共投資を削減するべきであることを示唆しています。
Effects of alternative pricing structures on electricity consumption and payments in the commercial and industrial sector
Asahi Oshiro, Nori Tarui
本研究は、商業および産業(C&I)向けの電力料金が、固定料金と需要料金の組み合わせから動的料金構造に変更された場合の配分的および福祉的影響を調査します。このテーマは、電力消費の効率性や公平性に重要な示唆を与えるため、特に重要です。データはハワイ州オアフ島のC&Iユーザーから得られた時間単位の電力消費データを用いており、需要料金を撤廃した場合の固定費回収の影響を分析するための推定戦略として、需要の変化と料金構造の変化を考慮したモデルを採用しています。主な結果として、需要料金を撤廃することにより、C&Iユーザーの支払いに対して配分的な影響が生じ、効率性の向上も見られることが示されました。具体的には、料金改革がユーザー間での固定料金の配分方法に応じて、逆進的または進歩的な影響を持つことが明らかになりました。これにより、政策担当者は料金構造の設計において公平性と効率性を両立させる必要があることが示唆されます。
Domestic and international effects of economic policy uncertainty on corporate investment and strategic cash holdings: Evidence from Japan
Ryosuke Fujitani, Masazumi Hattori, Yukihiro Yasuda
本研究は、経済政策不確実性(EPU)が日本企業の投資行動と現金保有に与える影響を実証的に検討することを目的としています。このテーマは、企業の資金運用戦略や経済全体の成長に重要な示唆を与えるため、特に重要です。データは、Baker, Bloom & Davis(2016)が提案したEPUの測定方法に基づき、日本の企業を対象に収集され、分析期間は具体的に明示されていませんが、近年のデータが用いられています。推定戦略としては、回帰分析が採用され、国内のEPUと米国のEPUの影響を比較しています。
主な結果として、著者らは、国内EPUが増加すると、日本企業は投資を減少させ、現金をより多く蓄積することを発見しました。特に、財政政策と為替政策の不確実性が企業投資に与える悪影響の主要因であることが示されました。ただし、為替政策の不確実性は短期的にのみ投資に対する予測力を持つことが確認されています。また、米国のEPUは、日本の企業投資に対して負のスピルオーバー効果を持つことも明らかにされました。
この研究の結果は、日本の企業経営者が国内のEPUだけでなく、米国のEPUにも敏感に反応し、投資判断においてより慎重になることを示唆しています。これにより、企業戦略や政策決定における不確実性の影響についての理解が深まります。
Why is the forecast error of quarterly GDP in Japan so large? – From an international comparison of quarterly GDP forecast situation
Yasuyuki komaki
本研究は、日本の四半期GDP予測誤差が他国に比べてなぜ大きいのかを、カナダ、英国、米国との国際比較を通じて検討しています。予測誤差が大きいことは、政策立案や経済の安定性に影響を与えるため、重要な問題です。データは、各国の四半期GDP予測に関するもので、特に日本の予測誤差が約2倍大きいことが示されています。推定戦略としては、各国の予測誤差を比較し、特に日本のGDP成長率の変動が予測誤差に与える影響を評価しています。主な結果として、日本の四半期GDPの予測誤差は、発表直前でも1%を超え、これは米国の94日前およびカナダの135日前と同等の水準です。著者らは、日本の予測が他国と同様に効率的であり、主要な経済指標の追加が予測誤差を改善しない可能性があることを指摘しています。政策的には、日本のGDPの変動性が予測の不確実性を高めていることを示唆しており、今後の研究ではこの変動の背後にある要因を探る必要があります。
Expenditure responses to the COVID-19 pandemic
Junichi Kikuchi, Ryoya Nagao, Yoshiyuki Nakazono
本研究は、COVID-19の感染拡大が消費者の支出パターンにどのような影響を与えたかを検討しています。このテーマは、パンデミックが世代間で異なる消費行動を引き起こす可能性があるため、重要です。著者らは、特に高齢者と若年層の消費支出の違いに注目しました。データは、COVID-19の影響を受けた期間における消費支出に関するもので、具体的なサンプルは明示されていませんが、年代別の分析が行われています。推定戦略としては、世代間の消費支出の変化を比較する手法が用いられています。主な結果として、60歳以上の高齢者は、パンデミック中に若年層に比べて少なくとも5%の支出減少が見られ、特に食料品や飲料に関しては13%の減少が観察されました。また、高齢者は買い物を控え、若年層にその機会を譲る傾向があることも示されています。これらの結果は、COVID-19感染への恐怖が高齢者の消費行動に影響を与えている可能性を示唆しており、今後の消費行動の理解において重要な示唆を提供します。
Impacts of firm's GVC participation on productivity: A case of Japanese firms
Shujiro Urata, Youngmin Baek
本研究は、日本の製造業における企業のグローバルバリューチェーン(GVC)参加が生産性に与える影響を検討しています。このテーマは、グローバル化が進む中で企業の競争力を理解する上で重要です。分析には、日本の経済産業省が実施した「企業活動基本調査」の企業レベルデータを使用し、対象期間は1994年から2018年までの約10,000社をカバーしています。著者らは、GVC企業を輸出と輸入の両方を行う企業と定義し、傾向スコアマッチング(PSM)と差分の差分(DID)推定手法を組み合わせて、非GVC企業からGVC企業への移行が生産性に与える影響を評価しました。GVC参加の経験が生産性に与える影響を検証するために、GVC参加の初年度だけでなく、その後の5年間の影響も推定しました。分析の結果、GVC参加が生産性に与える影響は一般的に正であり、110の推定のうち約35%で統計的に有意であることが示されました。また、正の係数の大きさは時間とともに増加する傾向があり、企業がGVC参加を通じて新しい技術や経営ノウハウを吸収するには時間がかかることが示唆されます。