How long do voluntary lockdowns keep people at home? The role of social capital during the COVID-19 pandemic
Yuta Kuroda, Takaki Sato, Yasumasa Matsuda
本研究は、COVID-19パンデミックの期間中における自発的な予防行動と政策遵守が、地域の社会的資本のレベルによってどのように異なるかを分析することを目的としています。このテーマは、パンデミック対策の効果を高めるために、社会的資本の重要性を理解する上で重要です。著者らは、8000万以上のモバイルデバイスから得たデータを用いて、都市ごとの日次モビリティ指標を作成し、2021年のデータを中心に分析を行いました。結果として、社会的資本が低い地域では、自発的な予防活動と政策遵守が大幅に減少した一方で、社会的資本が高い地域ではその影響が見られませんでした。また、社会的資本の影響は地域によって異なり、特に発展した都市部では、規範や文化が行動に与える影響は小さいことが示されました。さらに、日本においては、政治的支持に関する行動の異質性が、イデオロギーや立場ではなく、政党の多数派か少数派かによって決まることが明らかになりました。これらの結果は、地域社会に利益をもたらす行動の重要な要因として、他者との一致を重視することが挙げられることを示唆しています。
Government debt maturity and the term structure in Japan
Junko Koeda, Yosuke Kimura
本研究は、日本における政府債務の償還期間が金利構造に与える影響を分析することを目的としています。特に、1995年から2020年までの期間における償還期間の構成が、長期金利にどのように作用しているかを理解することが重要です。著者らは、各財政年度末の償還期間のデータを用いて、標準的な好ましい生息地モデルを構造的に推定しました。このモデルにより、償還期間の構成要素の減少が短期債務の割合の増加と関連していることが明らかになりました。具体的には、他の特定の償還期間の割合は比較的安定している中で、短期の残存償還期間が増加しています。この傾向は、持続的な低金利環境において長期債券利回りの圧縮に寄与していることが示されています。特に、2010年代後半には、この要因が長期金利の変動の主要な決定要因となり、圧縮の度合いが増加していることが観察されました。これにより、政府の債務管理や金融政策における新たな視点が提供され、既存の研究と比較しても重要な知見をもたらしています。
Monthly prefecture-level GDP in Japan
Daisuke Fujii, Taisuke Nakata, Takeki Sunakawa
本研究は、日本における月次の都道府県GDPを新たに測定する手法を提案する。地域経済の動向を理解するためには、より詳細な経済指標が必要であり、月次のGDPはその一助となる。著者らは、まず生産側と支出側のGDPを多様な公式統計を用いて算出し、次に両者の単純平均を計算し、公式の国全体の四半期GDPと整合性を持たせるための調整を行った。最近の期間において公式統計が利用できない場合には、代替データを用いて月次GDPを推定する手法を採用した。これにより、地域レベルでの経済問題の分析に役立つ月次都道府県GDPが得られる。具体的には、著者らの手法により、都道府県ごとの経済活動をより詳細に把握できるようになり、地域政策の立案における実用性が高まることが期待される。
Does participation in village assembly lead to improved public good allocation? Evidence from India
D. Rajasekhar, Takashi Kurosaki, R. Manjula ほか
本研究は、インドにおける地方分権型ガバナンスにおいて、村の集会への市民参加が公共財の配分に与える影響を分析することを目的としています。このテーマは、1992年の憲法改正により設立された村の集会が市民のニーズを反映し、地域開発の成果を向上させるために重要であるため、特に意義があります。本研究では、カーナータカ州の50の村議会から収集した詳細なデータを用いて、約1000人の有権者の参加状況を記録し、公共財の配分に関する選挙区レベルのデータと村の集会の記録を分析しています。著者らは、参加者の属性や参加理由、そして市民参加と公共財配分の関連性についての三つの質問を設定し、調査を行いました。結果として、女性や少数派の有権者の村の集会に対する認知度が低く、また多くの有権者が問題提起や利益要求ではなく、情報収集のために受動的に参加していることが明らかになりました。特に、参加は政治的なつながりに影響され、エリートの取り込みが懸念されます。したがって、低い参加率がエリートの取り込みの原因であることから、市民の参加を促進するための認知向上や革新的なメカニズムの導入が求められます。
Shinohara Rock-Paper-Scissors
Takashi Ui
本研究は、ボードゲームデザイナー篠原義照によって提案された篠原型じゃんけん(RPS)の戦略的特性を分析することを目的としています。このゲームでは、プレイヤーは常に「グー」を出すホストに対抗し、「グー」または「パー」を選択しますが、二人以上が「パー」を選ぶと排除され、最後の一人が勝者となるという独自のルールが設けられています。このような設定は、プレイヤー間に戦略的緊張を生み出します。著者は、n人のプレイヤーが残っているときに、パーを選ぶ確率が特定の方程式を満たすという唯一の対称的サブゲーム完全均衡の存在を示しました。具体的には、$$ (1-p)^{n-1} + rac{p^{n-1}}{n} = rac{1}{n} $$ という条件が満たされることが示され、さらに非対称均衡の連続体も存在することが明らかになりました。これにより、篠原型じゃんけんは従来のじゃんけんとは異なる戦略的インセンティブを持つことが確認され、ゲーム理論における新たな視点を提供します。
The 2024 Japan Economic Association Award for Young Female Researchers sponsored by the Nippon Life Insurance Company
Chiaki Moriguchi, Mari Tanaka, Akihiko Matsui ほか
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On radial and directional distance functions: what functions satisfy homogeneity and translation?
Rolf Färe, Hirofumi Fukuyama, Giannis Karagiannis
本研究は、放射距離関数と方向距離関数が同時に満たす同次性と平行移動の条件について考察し、これが効率測定や悪影響のモデル化、規模に対する収益、効率と生産性指標の集約に与える影響を検討します。この問題は、効率性の評価や生産性分析において重要な理論的基盤を提供します。著者らは、これらの関数が持つ特性を明らかにすることで、効率性の測定方法や生産性の評価手法に新たな視点を提供します。具体的には、同次性と平行移動を満たす関数の特定を通じて、効率性指標の集約に関する新たな知見を得ることができました。これにより、効率性の評価における理論的枠組みが強化され、政策立案における実務的な応用が期待されます。
Establishment dynamics in post-war Japan: missing entry and shrinking size
Xuanli Zhu
本研究は、戦後日本における企業の動態の長期的な進化を分析し、これまで報告されていなかった三つのトレンドを明らかにします。第一に、1950年代後半から1990年代後半にかけて新規企業の参入率が持続的に低下し、退出率は低く停滞しているため、日本のビジネスユニットの高齢化が進行しています。第二に、1960年代と1970年代において、特に製造業と建設業で平均企業規模が急激に減少し、その後の数十年で若い企業の規模は部分的に回復しました。第三に、同期間における企業のライフサイクル成長の平均が顕著に低下し、市場の活力がさらに減少しています。著者らは、日本のデータに基づいて標準的な企業動態モデルを用い、労働供給の成長の変化が新規参入率の長期的な低下に大きく寄与していることを発見しました。このメカニズムは主に直接的であり、構成的なフィードバックは最小限です。また、固定運営コストの適度な削減や事前生産性の分散の縮小が、新規参入者と既存企業の規模の減少をもたらすことを示しています。一方で、参入コストや退出価値、労働市場の歪みを変更しても、限られた事後の異質性を持つ経済において現実的な予測は得られませんでした。これらの結果は、労働供給の成長の長期的な低下、固定コストの減少、および新規参入者の異質性の縮小が、日本の市場の活力低下の持続的な移行の最も妥当な説明を提供することを示唆しています。
Preface to the JER special issue on “Heterogeneity and Macroeconomics”
Toshihiko Mukoyama, Makoto Nakajima, Tomoaki Yamada
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Discretizing earnings dynamics: implications of Gaussian-mixture shocks for life-cycle models
Robert Kirkby
本研究は、ライフサイクルモデルにおける収入ダイナミクスをより現実的に表現するために、従来のAR(1)プロセスに代わる新たなアプローチを提案します。特に、年齢依存性や非ガウス的な収入変動の重要性が指摘されており、これを考慮することでモデルの精度が向上することが期待されます。著者らは、ガウス混合イノベーションを用いたAR(1)プロセスを採用し、Tanaka-Toda法を拡張して離散化を行いました。対象とするデータは、年齢に依存したパラメータを持つ収入変動に関する実証研究に基づいています。
主な結果として、非ガウス的なイノベーションと非雇用ショックが年次および生涯の不平等に重要な影響を与えることが示されました。具体的には、従来のAR(1)プロセスと比較して、より現実的な収入ダイナミクスを取り入れることで、消費の不平等や消費保険の性能が向上することが確認されました。著者らは、この離散化手法の実装に関するMatlabコードも提供しており、実務者や研究者が容易に利用できるよう配慮されています。
本研究は、ライフサイクルモデルの理論的な枠組みを拡張するだけでなく、政策立案においても収入の不平等や消費行動の理解を深めるための基盤を提供します。ガウス混合を用いることで、モデル結果の実証的な妥当性が高まることが期待され、経済学における新たな視点を提供します。
Survey of the effects of unconventional monetary policy in Japan
Kosuke Aoki, Kozo Ueda
本研究は、日本銀行の非伝統的金融政策(UMP)の効果に関する実証研究を調査しており、特に2013年から2024年に実施された量的・質的緩和に焦点を当てています。このリサーチクエスチョンは、金融政策の効果を理解する上で重要であり、特に日本の経済における長期金利や資産価格への影響を明らかにすることが求められています。データは日本銀行の政策に関連する経済指標を用いており、対象期間は2013年から2024年までの約11年間です。著者らは、金融政策の効果を定量的に評価するために、回帰分析などの推定戦略を採用しています。主な結果として、UMPは長期金利を効果的に引き下げ、特に長期国債の購入がこの低下に寄与していることが示されています。また、ETFの購入が株価を押し上げ、UMPが生産やインフレに対しても正の効果を持つことが確認されました。具体的には、長期国債の購入が銀行準備金を10%増加させた場合、生産の増加は約3%であり、インフレ率は約2ポイント上昇する可能性があることが示唆されています。しかし、金融政策ショックを正確に特定することは依然として難しく、さらなる研究が必要であることも強調されています。
Firm entry and exit dynamics in Japan: institutions, policies, and empirical insights
Miho Takizawa
本研究は、日本における企業の参入と退出の特異な特徴を包括的に検討し、その背景にある制度、文化、政策の相互作用が起業家行動や企業の入れ替わり、産業構造、さらには国の長期的な経済パフォーマンスに与える影響を探ります。この研究では、戦後の経済成長期から「失われた10年」に至るまでの歴史的視点を取り入れ、日本の金融および労働市場の制度、規制枠組み、文化的規範が、企業の最適な退出決定を遅延または歪める様子を示します。データは製造業および非製造業からのマイクロレベルの証拠に基づいており、日本の企業風景を支配する中小企業が直面する特有の制約や政策による歪みを明らかにします。特に、労働市場の硬直性や「ゾンビ融資」、公的信用保証プログラムが生産性向上を妨げていることを指摘し、最近のCOVID-19パンデミックによる影響も考慮に入れています。最後に、社会的安定と経済的ダイナミズムのバランスを取るための政策オプションとして、労働市場の改革や公的信用保証の再構成、金融支援メカニズムの選択的調整を提案します。