Empowerment effects and intertemporal commitment of married couples: evidence from Japanese pension reform
Takahiro Toriyabe
本研究は、2007年の日本の年金改革を利用して、夫婦が資源配分に対するコミットメントをどのように行うかを検討しています。この改革により、離婚した女性が夫の年金給付の一部を請求できるようになりましたが、家庭全体の給付額は変わらないため、夫婦の意思決定に与える影響が注目されます。この改革は、完全なコミットメントの下では影響を及ぼさないはずですが、実際には妻の余暇活動が増加し、市場での労働や家庭内の仕事が減少することが明らかになりました。これは、妻が外部の選択肢の改善を利用して福祉を向上させたことを示唆しており、資源配分に対するコミットメントが完全ではないことを示しています。
Medical expenditures over the life-cycle: persistent risks and insurance
Taiyo Fukai, Hidehiko Ichimura, Sagiri Kitao ほか
本研究は、単身世帯と既婚世帯を対象にしたライフサイクルモデルを構築し、日本の国民健康保険制度の役割を評価します。医療支出リスクを分析するために、日本全国の健康保険請求に関する行政データを使用し、年齢や性別によって変動する確率過程でモデルをキャリブレーションします。この研究は、健康保険改革の経済的および福祉的影響が世帯の所得水準や福祉制度の寛容さに依存することを明らかにします。具体的には、健康保険がない場合、高所得世帯は自己保険に依存し、総貯蓄が大幅に増加します。一方、低所得世帯、特に低技能の単身男性や女性は貯蓄を減少させ、多くが福祉受給者となります。また、高齢者の自己負担率を引き上げると、世帯貯蓄は増加しますが、低所得世帯の資産が減少し、福祉受給者の増加を招く結果となります。これらの結果は、医療保険制度の設計や改革における重要な示唆を提供します。
Macroeconomic facts in the Japanese labor market: survey
Hiroaki Miyamoto
本研究は、日本の労働市場における重要なマクロ経済的事実を文献レビューを通じて整理し、労働力参加率、雇用構成、労働時間、賃金動態、労働者の流動性といった主要なトレンドを明らかにすることを目的としています。これらのマクロ経済的事実を系統的に検討することで、マクロレベルの労働市場分析を行う研究者や政策担当者にとって重要な洞察を提供します。データは最新のものであり、具体的な対象期間やサンプルについては明記されていませんが、著者のウェブサイトにて日本の労働市場に関する補足データが利用可能です。これにより、さらなる研究や政策開発の支援が期待されます。
Earnings, income, and wealth inequality in Japan: a long-term perspective, 1984–2019
Sagiri Kitao, Tomoaki Yamada
本研究は、1984年から2019年にかけての日本における世帯の所得、収入、資産の不平等の動向を分析しています。このテーマは、経済政策や社会保障制度の設計において重要であり、特に高齢化社会における不平等の影響を理解するために不可欠です。データは日本の世帯調査に基づいており、対象期間は35年間にわたります。著者らは、収入と資産の不平等の推定には回帰分析を用い、特に高齢者世帯の割合の変化が不平等に与える影響を検討しました。主な結果として、収入と資産の不平等は過去数十年で増加しており、特に収入の不平等は高齢化が主な要因であることが示されています。また、資産の不平等は全体的に見られるだけでなく、若年層の間でも顕著であり、極端に低い資産を持つ世帯の増加が大きな要因とされています。この研究は、高齢化や世帯構造の変化、経済のマクロ的な動向が不平等に与える影響を明らかにし、今後の政策立案における重要な示唆を提供しています。
Productivity over the life-cycle and its effect on the interest rate
Momo Komatsu, David Murakami, Ivan Shchapov
本研究は、日本における生産性の変化、人口動態の変化、金利との関係を探求します。日本は急速な高齢化、持続的な低金利、成長の停滞、デフレに直面しており、特に若年層と高齢者の生産性の収束が進んでいます。この問題は、経済政策において重要な意味を持ちます。著者らは、重複世代の二エージェント新ケインジアン(OTANK)DSGEモデルを用いて、1990年代以降の日本のデータを分析しました。主な結果として、若年層と高齢者の生産性の格差が縮小することで金利に上昇圧力がかかる一方で、長寿命化や人口減少が金利に下方圧力を与えることが示されました。特に、後者の効果が優勢であることが確認され、中央銀行がこれを考慮しない場合、デフレ圧力を引き起こす可能性があります。政策的には、労働者のライフサイクル全体にわたる生産性向上や、若年層と高齢者の生産性格差を埋めることが、金利の低下を緩和する手段となることが示唆されます。
Macroeconomic and welfare effects of family policy: cash transfers vs in-kind benefits
Reona Hagiwara
本研究は、先進国、特に日本において重要な課題である出生率の向上を目的とし、現金給付(CB)と現物給付(IB)の二つの育児政策が出生率、労働供給、福祉に与える影響を比較・評価します。著者は日本経済における内生的な出生率を考慮した一般均衡オーバーラッピング世代モデルを開発し、単身世帯と既婚世帯の両方を含めて分析を行いました。モデルでは、既婚カップルが直面する子供の数量と質、育児時間と労働時間のトレードオフを考慮しています。シミュレーションの結果、両方の育児給付が出生率を向上させることが示され、人口動態の変化は将来の世帯に対する福祉の向上をもたらすことが確認されました。特にIBは女性の労働供給を増加させるため、これらのポジティブな効果はIBの方が大きいとされています。教育水準が高く子供を持つ機会費用が高いカップルにとってはIBが、教育水準が低いカップルにとってはCBがより効果的であることが示唆されています。
Fiscal sustainability and market incompleteness: quantitative findings for Japan
Selahattin İmrohoroğlu, Akio Ino
本研究は、Hansenとİmrohoroğluによる財政持続可能性の分析を、Aiyagariの不完全市場モデルを用いて再検討しています。この研究の重要性は、日本の財政政策が持続可能であるかどうかを評価するために、異なる市場構造がどのように影響を与えるかを明らかにする点にあります。データは日本の経済に基づき、モデルは同じデータモーメントにキャリブレーションされています。研究では、完全市場と不完全市場のモデルを比較し、税率の必要な増加量が両者で類似していることを示していますが、市場構造の違いによる均衡配分への影響は大きいことが分かりました。また、労働供給の弾力性は配分に影響を与えますが、税率の増加にはあまり関係しないことが示されています。消費税や労働所得税の使用が均衡配分に影響を及ぼしますが、税率の増加にはあまり影響しないことも明らかになりました。最後に、資本所得税のみを用いて財政持続可能性を達成することは現実的ではないと結論付けています。
Correction: An analysis of altruistic and selfish motivations underlying hometown tax donations in Japan
Eiji Yamamura, Yoshiro Tsutsui, Fumio Ohtake
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Would monetary incentives to COVID-19 vaccination reduce motivation?
Eiji Yamamura, Yoshiro Tsutsui, Fumio Ohtake
本研究は、COVID-19ワクチン接種に対する金銭的インセンティブが個人の接種意欲に与える影響を探求することを目的としています。ワクチンが無償で提供されているにもかかわらず接種しない人々が存在する中で、金銭的インセンティブがどのように接種意欲を変化させるかを明らかにすることは、公共政策において重要な課題です。著者らは、オンライン調査から得たパネルデータを用いて、個人の特性によるインセンティブの効果の変動を分析しました。研究の結果、まず、補助金が接種意欲を減少させる一方で、個人の特性を考慮に入れると接種意欲が増加することが示されました。次に、接種に対する社会的イメージが強いほど、金銭的インセンティブが低下することが明らかになりました。最後に、未接種者は大きな補助金が提供されない限り、接種の意欲を持ち続けることはないとされました。これらの結果は、ワクチン接種促進のための政策設計において、個人の特性や社会的背景を考慮する必要性を示唆しています。
Identifying dynamic discrete choice models with hyperbolic discounting
Taiga Tsubota
本研究は、ハイパーボリック割引を用いた動的離散選択モデルの同定に関するものであり、これは経済学における意思決定の理解に重要な役割を果たす。著者らは、有限の時間枠を持つモデルにおいて、観察された条件付き選択確率と遷移確率から、標準の割引因子、現在バイアス因子、そして洗練されたエージェントの瞬時効用関数がポイント同定されることを示している。データは、観察された条件付き選択確率の時間における変動を利用することによって同定を達成するというアイデアに基づいている。推定方法を提示し、シミュレーションによって推定量の良好な性能を実証している。これにより、動的選択モデルの同定における新たなアプローチが提供され、理論的な枠組みを強化する可能性がある。
Price discrimination in a double horizontal differentiated duopoly market
Halvor Mehlum
本研究は、二重水平差別化モデルを用いて、デュオポリー市場における価格差別の均衡がどのように成立するかを探求します。このテーマは、コストと需要が対称的であっても、価格差別が市場の均衡状態において重要な役割を果たす可能性があるため、経済学における競争戦略の理解を深める上で意義があります。著者は、消費者が各企業と製品に対して持つ好みを考慮し、消費者が価格差に応じて製品や企業を切り替える可能性を示唆しています。モデルでは、消費者が完全な価格情報を持ち、特定の消費者層が価格に対して特に敏感である場合に、価格差別の均衡が成立することが示されています。結果として、価格差別が存在する条件として、消費者の中に価格に敏感なサブセットが必要であることが明らかになりました。この研究は、価格差別が競争戦略に与える影響を示し、企業の価格設定戦略や市場競争の理論的枠組みへの新たな視点を提供します。
Correction: Well-being paradox: comparing the age-happiness relationship across Japan, China, and the US
Takashi Oshio, Satoshi Shimizutani
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