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日本語で読む経済学研究

JER

Japanese Economic Review

102 件の公開済み論文

1950 年に The Economic Studies Quarterly として日本の主導的な経済学者たちによって創刊され、1959 年に日本経済学会の公式英文誌となった。後継誌である The Japanese Economic Review は、American Economic Review の日本版として位置づけられ、経済学全分野で最高水準の分析を国内外の研究者から掲載している。理論的・政策的・現実的な経済問題に強く関わる、独創的で示唆に富む寄稿も歓迎している。

Springer Nature1950年〜 / 日本経済学会 公式サイト →

JER2024年12月1日

日本における国家移転勘定(NTA)の分析:1984−2014

National Transfer Accounts (NTA) in Japan: 1984−2014

Taiyo Fukai, Setsuya Fukuda, Hidehiko Ichimura ほか

本研究は、日本における国家移転勘定(NTA)の統計を1984年から2014年まで一貫して計算するための標準化された手法を開発し、この手法を用いてNTAの3つのアカウントの進化を分析しました。この研究の重要性は、NTAを用いた議論のための一貫した基盤を提供することにあります。データは日本のNTAに基づき、対象期間は1984年から2014年までの30年間です。著者らは、消費成長率が2004年以降に最も遅かった年齢層(23〜39歳)を特定しました。この年齢層は、他の年齢層に比べて労働所得の成長が高かったにもかかわらず、公共移転負担が大きいために消費成長が鈍化したと分析しています。この結果は、日本における結婚率や出生率の低下の潜在的な原因について新たな視点を提供します。さらに、著者らはNTAの推定手法や枠組みの改善の可能性についても議論しています。

JER2024年12月1日

発展途上アジアにおける高齢者の幸福度に関する比較研究

The state of well-being of older people: a comparative study across developing Asia

Aiko Kikkawa, Martino Pelli, Lennart O. Reiners ほか

本研究は、発展途上アジアにおける高齢者の幸福度を測定する要因を探求し、従来の収入や貧困といった指標を超えた理解を目指しています。著者らは、中国、韓国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、バングラデシュ、インドの9カ国からなる高齢者の新しいデータセットを用い、生活満足度やメンタルヘルスのスクリーニングテストスコアを指標に幸福度の相関関係を分析しました。結果として、年齢は幸福度と正の相関を持ち、ほとんどの国で不幸度を負に予測することが確認されました。一方、性別、婚姻状況、教育水準、居住地域、生活形態といった他の人口統計的特徴は国によって一貫した関連性を示しませんでした。さらに、著者らは高齢者の幸福度に影響を与える4つの次元—仕事を通じた生産性、身体的健康と移動性の維持、退職後の経済的準備、家族や社会生活への積極的な関与—を特定しました。これらの要因が生活満足度の向上や抑うつ症状の軽減に寄与することが確認されましたが、国によってその関連性の方向性や強さは異なりました。全体として、地域内の高齢者には抑うつや孤独感が相対的に高く、特に高齢女性において幸福度の指標が低下する傾向が見られました。

JER2024年11月28日

中国、日本、韓国における高齢者の幸福度の実証研究

An empirical study of the well-being of older individuals in China, Japan, and Korea

Selahattin İmrohoroğlu, Zhixiu Yu

本研究は、中国、日本、韓国における54歳から75歳の高齢者の幸福度に影響を与える要因を明らかにすることを目的としています。この研究は、Rand HRSに類似した調査であるCHARLS(中国)、JSTAR(日本)、KLoSA(韓国)を用いており、対象期間は各国の調査波を含んでいます。著者らは、主観的幸福度(SWB)に関連する経済的、社会的、人口統計的特性を考慮した国別および性別のパネル回帰分析を実施しました。分析の結果、教育、健康、雇用状況、社会的相互作用が、過去の研究と同様に、幸福度において重要な要因であることが確認されました。また、特に韓国では、最近の調査波において高齢者のSWBが2006年の初回波と比較して低下していることが示されました。さらに、国ごとの住宅資産、相対所得、生活満足度の要因に関して重要な違いが存在することが明らかになり、各国特有の幸福度の決定要因に関するさらなる研究が必要であることが示唆されています。

JER2024年11月28日

中国における高齢者のための保険メカニズムの有効性

On the effectiveness of insurance mechanisms for older individuals in China

Jingyi Fang, Yasuyuki Sawada

本研究は、中国における高齢者の消費平準化が、健康ショックに対する保険メカニズムの効率性を示すかどうか、また市場および非市場の保険制度における最適性の程度を明らかにすることを目的としています。この問いは、特に高齢化が進む中国の社会において重要です。著者らは、中国健康と退職に関する縦断調査(CHARLS)の2011年、2013年、2015年、2018年のパネルデータを用いて、制度的および非公式な保険メカニズムの有効性を評価しました。分析の結果、基本的な必需品の消費は健康ショックに対して平準化される傾向が見られましたが、特に農村地域においては、健康ショックに伴う福祉コストが無視できないことが示されました。これにより、長期的な介護や年金制度、その他の社会的安全網の強化が必要であることが浮き彫りになりました。これらの結果は、消費がショックに対して堅牢である場合でも、福祉の向上に寄与する可能性があることを示唆しています。

JER2024年11月18日

日本における高齢労働者の過剰雇用と不足雇用の要因分析

Unraveling the determinants of overemployment and underemployment among older workers in Japan: A machine learning approach

Meilian Zhang, Ting Yin, Emiko Usui ほか

本研究は、日本の高齢労働者における過剰雇用と不足雇用の要因を明らかにすることを目的としている。この問題は広く存在するが、特に高齢者に焦点を当てた研究は少ない。著者らは、機械学習手法を用いて、過剰雇用と不足雇用を引き起こす重要な要因を特定した。データは日本の高齢労働者を対象にしており、具体的なサンプル数や期間は示されていないが、経済状況や健康状態、家族の支援、職務の特性が過剰雇用に関連していることが示された。具体的には、経済状況が良好であること、健康状態が悪いこと、家族の支援が少ないこと、職務の特性が不利であることが過剰雇用のリスクを高める要因である。また、年齢、可処分所得が少ないこと、現在の労働時間が短いこと、雇用が一時的であること、仕事や給与に対する満足度が低いことが不足雇用の予測因子であることが明らかになった。さらに、K-meansクラスタリング分析により、過剰雇用と不足雇用のグループ内での労働時間のミスマッチの理由が多様であることが示された。著者らは、65歳以上の経済的ストレスを抱える労働者や、家族の支援が不足している女性労働者、十分な労働時間を確保できていない給与労働者に対して、労働促進政策の余地があることを指摘している。

JER2024年11月15日

パンデミックで最も影響を受けた人々は誰か?日本における幸福度の分布回帰分析

Who suffered most in the pandemic? A distribution regression analysis of happiness in Japan

Anqi Li, Shiko Maruyama

本研究は、COVID-19パンデミックが日本における幸福度に与えた影響を、誰が最も苦しんだのかという観点から詳細に分析することを目的としています。この問題は、メンタルヘルスや主観的幸福感への影響に関する既存の研究が多い中で、特に重要です。データは、2019年と2021年に実施された日本のオンライン調査から得られ、著者らは個人の幸福度の変化を社会経済的特性によって比較し、複数の回帰分析および分布回帰(DR)フレームワークを活用しています。研究の結果、パンデミックの影響は大きな異質性を示し、特に女性の幸福度への影響は男性の約2倍であることが明らかになりました。また、DR分析により、パンデミックは中程度の幸福度を持つ個人に主に影響を及ぼしたことが示され、全体的な幸福度の範囲は大きく変動しなかったことが確認されました。特に、女性学生や高収入の自営業者・フリーランスの独身女性には影響が少なく、対照的に、フルタイムで高収入の既婚男性はより深刻な影響を受けたことが分かりました。教育や年齢は影響の大きさには有意な役割を果たさなかったとされています。これにより、社会経済的特性が幸福度の変化において重要な要因であることが示唆されます。

JER2024年11月14日

台湾における父系同居の要因分析

Upstream or downstream transfer behind patrilocal coresidence? Evidence from three-generational panel data

Meng-Chi Tang, Hsin-Yi Chiu

本研究は、台湾における世代間の父系同居の決定要因を探求する。特に、同居の機能が上流移転(子どもが高齢の親を支える)または下流移転(親が成人した子どもを支える)である可能性を検討することが重要である。著者らは、夫婦、親、子どもを含む三世代の家族データを用いて、各世代の特性を制御し、パネルデータ手法を適用することで、家族内の観察されない時間不変特性を考慮している。対象とするデータは、台湾の三世代パネルデータであり、親の教育、子どもの教育、住宅所有が父系同居に関連する重要な要因であることが明らかになった。具体的には、祖父母と同居していた親は、成人した子どもと同居する可能性が7%高いことが示された。この結果は、台湾における父系同居の背後にある機能として上流移転がより重要であることを示唆しており、世代を超えた父系同居率の安定性を説明する要因となる。

JER2024年11月13日

日本における無料がん検診プログラムの効果

Does free cancer screening make a difference? Evidence from the effects of a free-coupon program in Japan

Meng Zhao

本研究は、日本における無料がん検診クーポンプログラムが、がん検診の受診率やメンタルヘルスに与える影響を分析しています。高齢化が進む中で、がんは労働生産性や医療費に重大な影響を及ぼすため、がん検診の重要性が増しています。しかし、がん検診の受診率は依然として低い地域が多く、メンタルヘルスへの影響についての理解が不足しています。著者らは、2007年から2013年までの日本の生活条件に関する総合調査データを用い、2009年に開始された無料クーポンプログラムの影響を利用して、受診率とメンタルヘルスへの影響を評価しました。プログラムにより、女性の乳がんおよび子宮頸がん検診の受診確率は約9~10%増加し、大腸がん検診の受診率は女性で約6%、男性で約3%増加しました。また、がん検診はメンタルヘルスや喫煙行動に対しても影響を与える可能性がありますが、その効果は一貫性がなく、全体としては弱いことが示されています。これにより、がん検診の普及がメンタルヘルスや健康行動に与える影響についてのさらなる研究が必要であることが示唆されます。

JER2024年11月12日

家族構造と主観的幸福度:COVID-19前後の日本における子どもの影響

Family structure, gender, and subjective well-being: effect of children before and after COVID-19 in Japan

Eiji Yamamura, Fumio Ohtake

本研究は、家族関係の変化が祖父母と親の主観的幸福度(SWB)に与える影響を探求することを目的としています。特に、COVID-19パンデミックが家族の役割に及ぼした影響を考慮し、子どもや孫の性別がSWBにどのように関連するかを分析します。データは2016年から2023年にかけて独立に収集された個人レベルのパネルデータを用いており、対象は日本の家庭です。分析の結果、COVID-19前と比較して、(1) 孫娘は祖母のSWBを増加させ、(2) 娘と息子は父親のSWBを減少させ、母親のSWBには変化が見られないことが明らかになりました。また、(3) 息子の負の影響は、父親に若い兄弟がいる場合に大幅に軽減されることが示されました。これにより、父親は幼少期の兄弟との相互作用から学び、家族の生活様式や関係が変化した際にも息子との関係悪化を回避できる可能性が示唆されます。

JER2024年11月11日

中国高齢者のメンタルヘルスと子どもの役割

The state of mental health among older Chinese and the role of children

Yi Chen, Hanming Fang

本研究は、中国における高齢者のメンタルヘルスの状況と、子どもが果たす役割について探求しています。特に、1970年代からの厳格な家族計画政策が高齢者のメンタルヘルスに与える影響を明らかにすることが目的です。この問題は、高齢者の福祉や社会的支援の重要性を理解する上で不可欠です。データは中国の高齢者を対象にしたもので、家族計画政策の影響を受けた親のメンタルヘルスの変化を分析しています。著者らは、家族計画政策が高齢者の身体的健康にはプラスの影響を与える一方で、うつ症状の悪化をもたらすことを示しています。特に、子どもがいないか一人しかいない親は、年齢とともにメンタルヘルスが急速に悪化する傾向があり、この現象は子どもと同居していない高齢者に特有です。これらの結果は、高齢者のメンタルヘルスにおける家族の支援の重要性を強調しており、政策立案者に対しても家庭支援の必要性を訴えるものとなっています。

JER2024年11月6日

幸福度の逆説:日本、中国、アメリカにおける年齢と幸福の関係の比較

Well-being paradox: comparing the age-happiness relationship across Japan, China, and the US

Takashi Oshio, Satoshi Shimizutani

本研究は、年齢が上がるにつれて主観的幸福感が安定または改善するという「幸福度の逆説」に焦点を当て、そのメカニズムを日本、中国、アメリカのデータを用いて比較しています。このテーマは、健康や社会的損失が悪化する中で人々の幸福感がどのように変化するかを理解する上で重要です。著者らは、日本(2000–2018年)、中国(2003–2021年)、アメリカ(2000–2022年)の繰り返し横断調査データを使用し、期間効果やコホート効果を制御した上で、各国における年齢と幸福度の関係を分析しました。結果として、いずれの国でも年齢と幸福度の間にU字型の関係が観察されましたが、底の年齢は日本で58歳、中国で49歳、アメリカで42歳と異なり、また曲線の鋭さも国によって異なりました。特に、配偶者の喪失が全ての国で幸福度に与える影響が大きいことが示され、介入変数を制御した後、U字型曲線の傾きがより急になることが確認されました。これにより、幸福度の逆説が強固であることが示唆され、政策立案や社会福祉の分野において、年齢に伴う幸福感の変化を考慮する必要性が浮き彫りになっています。

JER2024年11月6日

韓国における長期介護保険の利用とその関連要因

Accessing long-term care social insurance benefits in South Korea and its correlates

Joelle H. Fong, John Piggott

本研究は、韓国の長期介護(LTC)社会保険制度におけるサービス受給の需要要因を明らかにすることを目的としています。特に、普遍的な公的カバレッジの文脈において、誰がLTCサービスの利益を申請するのかを探求します。データは2014年から2018年の韓国老年縦断研究から取得され、対象は60歳以上の地域在住者です。研究では、身体的健康、認知的健康、精神的健康の多次元を考慮した推定モデルを用いています。主な結果として、機能的制約、抑うつ症状、中等度から重度の認知障害が、LTCサービスの需要と独立して正の関連を持つことが示されました。また、利益を申請する人々は、制度管理者への信頼が高く、雇用されたヘルパーからのケアを期待する傾向があります。逆に、家族からの非公式なケアを期待する高齢者は、正式なLTCの申請を行う可能性が低いことが分かりました。この負の関連は、子供や孫からのケア期待よりも配偶者からのケア期待によって強く影響されることが示唆されます。政策担当者は、高齢者の健康状態の多様性とケア期待の違いを考慮し、今後の公的LTC制度における利益請求の需要を推定する際にこれらの要因を認識する必要があります。