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公開中の論文:278 件

JJIE2023年6月1日

相続税改革は安価な賃貸住宅の建設を促進するか?

Does inheritance taxation reform promote to build inexpensive rental housing?

Naoto Mikawa, Shohei Yasuda, Norifumi Yukutake

本研究は、2015年に日本で実施された相続税改革が賃貸住宅の家賃に与える影響を検討する。相続税改革により、大規模な相続に対する課税が大幅に増加したことが、税金対策として安価な低層アパートの建設を促すインセンティブとなる可能性があるため、その効果を明らかにすることが重要である。データは日本国内の賃貸住宅市場から収集され、差分の差分法(difference-in-differences)を用いて推定を行った。対象期間は相続税改革前後のデータを含み、特に木造または軽量鉄骨フレームのアパートに焦点を当てた。分析の結果、相続税改革により、これらのアパートの家賃が1.3%減少したことが明らかになった。また、対象群に属するやや古い住宅の賃貸料は減少したが、新築住宅の賃貸料には変化が見られなかった。これらの結果は、相続税改革が住宅市場における賃貸価格に影響を与える可能性を示唆しており、政策立案者にとっては、住宅供給の促進策として相続税の見直しが有効であることを示すものである。

JJIE2023年6月1日

COVID-19が日本における雇用の男女格差に与えた影響

COVID-19 and the employment gender gap in Japan

Taiyo Fukai, Masato Ikeda, Daiji Kawaguchi ほか

本研究は、COVID-19パンデミックが日本における女性の雇用にどのような影響を与えたかを検討する。特に、子育てを担う既婚女性の雇用率が大幅に減少したことが重要である。著者らは、パンデミック前後のデータを用いて、既婚女性の雇用率が子供を持つ場合には3.5ポイント減少したのに対し、子供のいない場合には0.3ポイントの減少にとどまったことを示している。この結果は、子育て責任の増加が母親の雇用に大きな影響を与えたことを示唆している。また、職を失った母親は、学校が再開された後も労働市場から離脱したままであることが観察された。一方、子供を持つ既婚男性の雇用率には影響が見られなかった。これにより、雇用の男女格差を縮小する進展が妨げられたことが明らかになった。

JJIE2023年6月1日

国際貿易における炭素排出の共有責任評価

Assessing carbon emissions embodied in international trade based on shared responsibility

Palizha Airebule, Haitao Cheng, Jota Ishikawa

本研究は、世界の五大炭素排出国における炭素排出の評価を、特に「共有責任(SR)」の観点から行うことを目的としている。SR基準では、排出責任が生産者と消費者の両者に分配されるため、この視点からの分析が重要である。データは2002年から2014年までの期間における中国、インド、アメリカ、日本、ロシアの炭素排出量を対象とし、マルチリージョン投入産出モデルを用いてSRを計算した。具体的には、中国のSRは157%、インドは116%の増加を示し、特に中国の急速な輸出成長が炭素排出の主な要因であった。一方、アメリカと日本では炭素排出が減少傾向にあったが、これは国境を越えた炭素漏れの影響が考えられる。また、SRに基づく五カ国の国別炭素排出の40%以上は「電気、ガス、蒸気及びエアコン供給」に起因しており、これは生産量の多さと高い炭素排出強度に起因している。これにより、国際貿易における炭素排出の責任の分配を理解することができ、政策立案や国際協力の必要性を示唆している。

JJIE2023年6月1日

COVID-19パンデミックが世界のGDP成長に与えた影響

The impact of the COVID-19 pandemic on global GDP growth

Joseph E. Gagnon, Steven B. Kamin, John Kearns

本研究は、COVID-19パンデミックが2020年および2021年の間に世界の実質GDPに与えた影響を評価する初期の試みの一つである。特に、国内要因と国際貿易が経済的影響を伝達する役割を区別することに焦点を当てている。著者らは、2020年第1四半期から2021年第4四半期までの90カ国における四半期ごとの実質GDP成長率をパンデミック関連の変数に基づいてパネルデータ回帰分析を行った。結果として、COVID-19による死亡者数は全体のサンプルにおいてGDPに与える影響は非常に小さいことが示された。一方、政府がウイルスの拡散を制限するために講じたロックダウン措置の厳格さの変化は、GDPに重要な影響を与えた。また、パンデミックの経済的影響は富裕国と発展途上国で異なり、先進国ではCOVID-19死者数がGDPに若干の抑制効果を持つ一方で、ロックダウン制限は新興国や開発途上国の経済活動により大きな悪影響を及ぼした。さらに、国際貿易はパンデミックの経済的影響が国境を越えて広がる重要なチャネルであることが示され、グローバリゼーションが各国をCOVID-19の医療的および経済的感染に対して脆弱にしていることを強調している。

JJIE2023年6月1日

中国からの輸入ショックと日本の雇用再配置

The China shock and job reallocation in Japan

Masahiro Endoh

本研究は、1996年から2016年の間に中国からの輸入ショックが日本の製造業における雇用再配置に与える影響を調査しています。このテーマは、グローバル化の進展に伴い、他国からの輸入が国内の雇用構造にどのように影響を及ぼすかを理解する上で重要です。データは日本の製造業に関するもので、直接的、上流、下流の3種類の輸入ショックを考慮し、それぞれの影響を分析しています。推定戦略としては、雇用の流れを詳細に分解し、業界および地域要因に基づいた分析を行っています。主な結果として、直接的な輸入による雇用の減少、下流の輸入による小規模事業所の雇用の増加、そして雇用変動は主に事業所の新規参入と退出によって引き起こされることが示されています。また、業界レベルの分析と地域レベルの分析で示される雇用変化の大きな差異は、地域特性によって決定される地域再配置および総需要効果に起因しています。全体として、3種類の輸入ショックの合計雇用効果はすべてのケースで負の影響を示しています。この研究の手法は、雇用再配置の明確な把握を可能にし、輸入ショックが労働市場を通じてどのように波及するかを明らかにしています。

JJIE2023年6月1日

COVID-19下における財政能力と商業銀行の貸出

Fiscal capacity and commercial bank lending under COVID-19

Joshua Aizenman, Yothin Jinjarak, Mark M. Spiegel

本研究は、COVID-19パンデミックにおける政府の債務が拡張的な政府支出の商業銀行貸出成長への効果に与える影響を検討しています。この問題は、銀行の貸出が経済回復において重要な役割を果たすため、特に重要です。著者らは、71カ国からの3000以上の銀行の大規模なクロスセクションデータを用いて、政府の支援の内生性を考慮し、既存の国家的政治特性の格差を用いて異常支出を計量的に推定しました。結果として、銀行貸出は財政能力に応じて反応し、公的債務が高い国では、政府支出の増加が銀行貸出に与える拡張的効果が経済的かつ統計的に有意に弱まることが示されました。特に、弱い銀行においてこの感度が高く、高所得経済や中小銀行でも同様の傾向が見られました。これらの結果は、仕様、サンプル、推定手法の変動に対しても堅牢であることが確認されています。

JJIE2023年6月1日

地方自治体合併における債務発行インセンティブとクリエイティブ・アカウンティング

Debt issuance incentives and creative accounting: Evidence from municipal mergers in Japan

Tsuyoshi Goto, Genki Yamamoto

本研究は、クリエイティブ・アカウンティングが地方自治体のガバナンスにおいてどのように発生するか、特に債務発行のインセンティブがその規模に与える影響を探求しています。クリエイティブ・アカウンティングは経済問題を引き起こす重要な要因であり、そのメカニズムを理解することは政策形成において重要です。研究では、日本の地方自治体合併に関するデータを用い、対象期間は具体的に示されていませんが、合併に関与する小規模な自治体が債務発行の自由乗車のインセンティブを持つことを前提にしています。著者らは、相対的な人口規模を連続的な処置として活用し、債務発行インセンティブの強さを測定しました。結果として、相対的に小さな人口を持つ自治体は、他の自治体よりもクリエイティブ・アカウンティングをより集中的に利用していることが明らかになりました。また、クリエイティブ・アカウンティングによって隠された資金が、財政困難の克服や政治家の利益増加ではなく、住民福祉の向上に使用されていることも示されました。これにより、クリエイティブ・アカウンティングの使用が必ずしも不正行為に結びつかない可能性が示唆され、政策的な考察が必要であることが明らかになりました。

JJIE2023年6月1日

COVID-19政府補助金の配分と生産性への影響に関する国際比較研究

Cross-country evidence on the allocation of COVID-19 government subsidies and consequences for productivity

Tommaso Bighelli, Tibor Lalinsky, Juuso Vanhala

本研究は、COVID-19パンデミックとそれに伴う政策支援が生産性に与える影響を探求しています。この問題は、企業の生産性向上が経済回復に重要であるため、特に重要です。著者らは、5つのEU諸国における企業のパフォーマンスと政府補助金に関する個別データを用いた広範なマイクロ分配分析を実施しました。分析対象は、2020年から2021年のデータで、企業の雇用状況や直接的な補助金の配分を考慮しています。結果として、パンデミックは短期的に総生産性を大幅に低下させたことが示され、企業への直接支援は生産性の向上に対して限られた正の効果しか持たなかったことが明らかになりました。また、企業の規模や支援を受ける確率に基づく詳細な比較分析から、国ごとに生産性に対する結果があいまいであり、企業の特性が重要な役割を果たすことが示唆されています。

JWE2023年3月1日

COVID-19パンデミックに対する消費支出の変化

Expenditure responses to the COVID-19 pandemic

Junichi Kikuchi, Ryoya Nagao, Yoshiyuki Nakazono

本研究は、COVID-19の感染拡大が消費者の支出パターンにどのような影響を与えたかを検討しています。このテーマは、パンデミックが世代間で異なる消費行動を引き起こす可能性があるため、重要です。著者らは、特に高齢者と若年層の消費支出の違いに注目しました。データは、COVID-19の影響を受けた期間における消費支出に関するもので、具体的なサンプルは明示されていませんが、年代別の分析が行われています。推定戦略としては、世代間の消費支出の変化を比較する手法が用いられています。主な結果として、60歳以上の高齢者は、パンデミック中に若年層に比べて少なくとも5%の支出減少が見られ、特に食料品や飲料に関しては13%の減少が観察されました。また、高齢者は買い物を控え、若年層にその機会を譲る傾向があることも示されています。これらの結果は、COVID-19感染への恐怖が高齢者の消費行動に影響を与えている可能性を示唆しており、今後の消費行動の理解において重要な示唆を提供します。

JWE2023年3月1日

高齢者介護政策とサンドイッチ世代の時間配分

Elderly long-term care policy and sandwich caregivers’ time allocation between child-rearing and market labor

Akira Yakita

本研究は、高齢者介護政策がサンドイッチ世代、すなわち子どもと高齢者の両方を同時に介護する世代の育児と市場労働の時間配分に与える影響を分析しています。このテーマは、日本の急速な高齢化と介護需要の増加に伴い、家族の時間配分や出生率に重要な影響を及ぼすため、特に重要です。著者らは、重複世代モデルを用いて、公共の長期介護提供が育児決定や時間配分に与える効果を検討しました。データは日本の大学生の親を対象にし、サンプルの約3分の1がサンドイッチ世代であることが報告されています。結果として、公共の長期介護提供が家庭の介護に比べてコストが高い場合、公共の介護提供の増加は出生率を低下させることが示されました。一方、公共の介護部門の労働生産性が向上すると、介護者の時間が解放され、出生率が上昇し、社会福祉も向上することが明らかになりました。製品生産部門の雇用への影響は一般的に不明確であり、公共の介護提供の増加がより多くの労働を必要とするためです。

JWE2023年3月1日

COVID-19初期における日本の消費者物価指数の測定誤差

Consumer price measurement under the first wave of the COVID-19 spread in Japan: Scanner data evidence for retailers in Tokyo

Masahiro Higo, Shigenori Shiratsuka

本研究は、日本におけるCOVID-19の初期波の影響下での消費者物価指数(CPI)の測定誤差を検討する。特に、パンデミックによって家庭の購買行動が制約される中で、幅広い商品と小売業者をカバーする高頻度の品質調整価格指数を構築することが重要である。本研究では、東京の小売店から得た日次スキャナーデータを用いて、価格データの一時的なセール効果や小売サービスの質を調整し、価格動態を分析した。対象期間は2020年1月から6月までであり、CPIの測定誤差の原因が米国とは異なることを示す。具体的には、食料品や外食において、CPIの下方バイアスが−0.6から−0.3ポイントと推定され、全体のCPIに対する寄与は年率で−0.3%から−0.15%ポイントとされる。測定誤差の影響は限定的であり、CPIの全体的な傾向は変わらないことが示された。特に、日本のCPIにおける「一商品一仕様」政策が価格の代表性を弱め、下方バイアスを生じさせる主要因であることが指摘される。

JWE2023年3月1日

日本の銀行の国際展開戦略が業績に与える影響

Impact of international expansion strategy on the performance of Japanese banks

Joseph Jr. Aduba, Kozo Harimaya

本研究は、日本の銀行が国際展開を行う際の多国籍銀行業務の影響を探求し、特に国境を越えた多様化が銀行の業績に与える効果を検討します。このテーマは、国際的な金融統合がグローバルな金融経済に及ぼす影響に関する重要な議論の一部であり、特に日本の銀行における国際業務の事例はこれまで十分に研究されていませんでした。データは日本の主要銀行に関するもので、対象期間は不明ですが、推定戦略としては回帰分析を用いています。結果として、国境を越えた多様化はコスト効率を改善する一方で、利益効率を低下させることが示されました。また、外国資産の拡大や外国支店の運営は資金リスクや運営の非効率をもたらすことが明らかになりました。これらの結果は、日本の銀行が国際的な貸出市場において重要な役割を果たす中で、現在の拡大活動に対する監視と管理が必要であることを示唆しています。特に、海外資産や支店の拡大戦略は再評価されるべきです。