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日本語で読む経済学研究

JWE

Japan and the World Economy

89 件の公開済み論文

「経済の理論と政策」をテーマにした国際英文誌。日本経済と世界経済の相互作用 — 貿易不均衡と摩擦、技術競争、金融市場の国際化、為替変動とマクロ協調、経営・マーケティング慣行の比較 — に関する研究を扱う。経済学・金融・経営科学・マーケティングの実証および政策研究に加え、政策提言につながる理論的分析も歓迎している。

Elsevier1988年〜 公式サイト →

JWE2025年12月1日

ASEAN諸国におけるCOVID-19の家庭への影響と人材育成への示唆

Impacts of COVID-19 on households in ASEAN countries: Medium-run impacts and their implications for human capital development

Peter J. Morgan, Trinh Q. Long, Kunhyui Kim

本研究は、COVID-19パンデミックがASEAN諸国の家庭に与える中期的な影響を明らかにし、これが人材育成に与える意義を探求することを目的としています。このテーマは、経済的な困難が家庭の教育や将来の人材育成にどのように影響するかを理解する上で重要です。著者らは、7カ国の家庭を対象に2回のインタビューを実施し、データを収集しました。分析には、家庭の収入層、世帯主の教育水準、世帯主の性別、職を失ったかどうか、ロックダウン地域に居住しているかなどの要因が考慮されています。主な結果として、低所得層や教育水準の低い世帯主を持つ家庭が支出の減少や経済的困難を経験しやすいことが示されました。また、政府からの支援金は、パンデミック前の収入に対して低所得層でより多く受け取られており、政府の支援が経済的困難の軽減に寄与することが明らかになりました。これらの結果は、経済政策の設計において、特に脆弱な家庭への支援の重要性を示唆しています。

JWE2025年12月1日

為替が中国の輸出に与える影響の減少

The diminishing impact of exchange rates on China’s exports

Willem Thorbecke, Chen Chen, Nimesh Salike

本研究は、中国の輸出が為替レートの変動にどのように影響されているかを検討し、特に2008–2009年の世界金融危機以降の変化に焦点を当てています。このテーマは、保護主義が高まる中で、中国の貿易政策や国際経済関係において重要です。著者らは、1990年から2022年までの中国の輸出データを用い、時系列データとパネルデータを分析しました。推定戦略には、実効為替レートと二国間実効為替レートを考慮したモデルが用いられています。主な結果として、2008年以降、実効為替レートや二国間実効為替レートが中国の総輸出に与える影響がほとんどなくなったことが示されました。特に、金融危機前はほぼすべての輸出カテゴリーが為替レートに敏感であったのに対し、金融危機後は半数未満に減少しています。この結果は、中国や他国の政策担当者が中国の貿易に影響を与えたい場合、為替レート以外の手段を考慮する必要があることを示唆しています。

JWE2025年12月1日

COVID-19が日本の労働市場におけるミスマッチを悪化させたか

Did COVID-19 deteriorate mismatch in the Japanese labor market?

Yudai Higashi, Masaru Sasaki

本研究は、COVID-19パンデミックが日本の労働市場における求職者と求人の間の職業的ミスマッチをどのように悪化させたかを検討する。特に、職業の脆弱性や雇用形態(フルタイム対パートタイム)による労働市場のセグメンテーションが、パンデミック期間中のミスマッチの動態にどのように影響したかを分析する。著者らは、Şahin et al. (2014) によって開発された手法を用いて、職業ごとの脆弱性と雇用形態に基づくミスマッチ指数を推定した。結果として、パンデミックは感染リスクが高い職業やリモートワークが容易な職業において、フルタイムおよびパートタイムの労働者双方においてミスマッチを引き起こすことが明らかになった。さらに、リモートワークが特に難しい職業においては、フルタイム労働者のミスマッチが増加したことも示された。これらの結果は、労働市場のセグメンテーションや職業の脆弱性が、危機時における労働市場の適応能力に重要な影響を与えることを示唆している。

JWE2025年12月1日

患者の自己負担が入院医療に与える中期的影響の分析

Medium-run effects of patient cost-sharing on the demand-side and supply-side of inpatient care: A natural experiment in Japan

Akihiro Yoshimura, Reo Takaku

本研究は、患者の自己負担が入院医療の需給に与える中期的な影響を明らかにすることを目的としている。特に、2003年のコインシュアランス率引き上げが入院利用に及ぼす効果を分析することは、医療費抑制における政策の有効性を評価する上で重要である。著者らは、日本の公立病院データを用いて、12年間にわたるデータを分析し、差分の差分法とイベントスタディを適用した。分析の結果、2003年の改革後数年で入院患者数が減少したが、4年後からは患者1日あたりの入院コストが増加し始めた。これは主に医療資源の増加によるものであり、最終的には入院患者数の初期的な減少にもかかわらず、中期的には総入院コストへの影響はほとんど見られなかった。これらの結果は、既存の研究が中期および長期における患者の自己負担のコスト抑制効果を過大評価している可能性があることを示唆している。

JWE2025年12月1日

株式市場の逆転効果の分析:低価格指標の探求

Decomposing the reversal effect: Exploring low-to-price and other indicators

Yasuhiro Iwanaga

本研究は、株式市場における逆転効果を評価するために、価格指標の中でも特に低価格に焦点を当てた分析を行っています。逆転効果は、投資家が過去の価格動向に基づいて投資判断を行う際に重要な役割を果たすため、その理解は投資戦略の構築において不可欠です。本研究では、日本の株式市場を対象に、価格指標として高価格対低価格、高価格対価格、低価格対価格、価格対低価格の4つを用いて、逆転効果の予測における有効性を検証しました。これにより、特に価格対低価格の指標が最も効果的であることが明らかになりました。逆に、高価格対価格の指標は、期待されたほどの効果を示さず、市場の状況や期間によって投資家が考慮すべき基準価格が異なる可能性を示唆しています。また、価格対低価格の戦略は高ボラティリティの期間においてその効果が顕著であり、市場の不確実性が高まる時期において有用な投資アプローチとなる可能性があります。

JWE2025年12月1日

ロボットとICTが高齢化に与える影響の考察

Robots, ICT and aging: How do advanced technologies interact with aging

Hongyan Lu

本研究は、先進技術の導入が人口高齢化の生産性への影響をどのように変えるかを探求しています。特に、2008年から2020年までの12のOECD諸国における年齢・スキル別の労働者グループとICTおよび産業用ロボットという技術資本との相互作用を分析しています。データは産業レベルで収集されており、推定戦略には相互作用効果を考慮したモデルが用いられています。主な結果として、ICTの強度が高い産業では、低スキルの高齢労働者の相対的な労働生産性が向上する一方で、ロボットは高スキルの高齢労働者との補完性を示すことが明らかになりました。また、ICTとロボットを同時に導入することで、年齢・スキルグループ間の相対的な生産性差が縮小し、特に同じ年齢層内でのスキルレベルの異なる労働者間のギャップが狭まることが示されています。しかし、これらの効果は国や産業によって大きく異なることも指摘されています。高齢化が進みロボット利用が広がる国では、技術資本と労働の相互作用が顕著に異なることが観察され、資本集約型産業においてはロボットが労働者との強い補完性を示す一方で、労働集約型産業ではICTが高齢労働者に対して補完的な効果を持つことが確認されました。

JWE2025年9月1日

日本における持続可能な花卉ビジネスの展望:国内外のカットフラワー需要の動的分析

Towards sustainable floral business in Japan: Evidence from dynamic demand system between domestic and imported cut flowers

Chun-Fu Hsu, Cho-Han Su, Kuo-I Chang

本研究は、日本におけるカットフラワーの需要構造を明らかにし、持続可能な花卉ビジネスの促進に向けた政策の効果を検討することを目的としています。特に、国内生産の減少と安定した需要の間にある供給ギャップに対処するため、輸入の影響を評価することが重要です。著者らは、2002年1月から2021年12月までの輸入および家庭消費に関する調査データを用い、動的EC-AIDSモデルを適用して、国内外のカットフラワー間の支出弾力性、自己価格弾力性、交差価格弾力性を推定しました。主な結果として、2014年以降に施行された国内花卉ビジネス促進政策は、輸入花卉と国内花卉の需要構造に有意な影響を及ぼさなかったことが示されました。また、国内カットフラワーは主要な輸入元国からの花卉の代替品であるものの、代替の程度は限られていることが確認されました。特に、蘭の補完的関係や、チューリップの支出弾力性が2.62であることから、日本市場における持続可能な可能性が示唆されています。

JWE2025年9月1日

生涯にわたる地価の経験が日本の住宅所有に与える影響

Do lifelong experiences of land prices affect homeownership in Japan?

Kiichi Tokuoka

本研究は、生涯にわたる地価の成長経験が日本における住宅所有にどのように影響するかを検証することを目的としています。このテーマは、住宅市場における個人の意思決定や政策立案において重要な示唆を与える可能性があります。データは日本の家計調査から収集され、対象期間は具体的に示されていませんが、著者は生涯の実質地価成長の加重平均を計算し、重み関数の形状を決定するパラメータを推定しています。さらに、米国のデータを用いて結果を補強しています。分析の結果、日本と米国の両方のデータにおいて、地価の成長経験が住宅所有に影響を与えるという仮説が支持され、これは住宅投資からのリターンに対する期待に影響を与える信念チャネルと一致しています。これにより、地価の変動が住宅市場における個人の行動に与える影響を理解する手助けとなり、政策的には住宅市場の安定化に向けた施策の重要性を示唆しています。

JWE2025年9月1日

多国籍企業における知識移転パターンの分析

The knowledge transfer patterns of multinational firms: The evidence from Korean firm-level analysis

Hyunjung Cho, Gahee Bak, Junyun Kim ほか

本研究は、KellerとYeaple(2013)の理論仮説の一つを検証し、貿易コストと親会社の知識集約度が外国子会社への知識移転に与える影響を探ります。この問題は、多国籍企業の知識移転のメカニズムを理解する上で重要です。データは2007年から2018年までの韓国の製造業企業のパネルデータを使用し、知識移転を(a)知識が埋め込まれた社内貿易と(b)直接的なコミュニケーション(人材の派遣)に分けて分析します。推定戦略には固定効果モデルと動的パネル推定を用いています。主な結果として、貿易コストは知識が埋め込まれた社内輸出を有意に減少させる一方で、知識集約度が高い場合にはその影響が緩和されることが示されました。しかし、貿易コストと知識集約度は直接的なコミュニケーションには有意な影響を及ぼさないことも明らかになりました。これらの結果は、知識移転の戦略を考える上での理論的な示唆を提供し、既存の研究に対する新たな視点を提供します。

JWE2025年9月1日

為替自由化と為替リスク: 日本自動車産業の企業レベルの実証分析

Foreign exchange liberalization and exchange rate exposure: Firm-level evidence of the Japanese Automobile Industry

Teru Nishikawa, Kiyotaka Sato

本研究は、1998年の外国為替及び外国貿易法(FEFTA)の大幅な改正が、日本の自動車企業に与える為替リスクへの影響を実証的に検討しています。この問題は、為替自由化が企業のリスク管理戦略にどのように影響するかを理解する上で重要です。研究では、10社の自動車企業を対象に、企業レベルの説明変数を用いたパネルデータ推定を行い、1998年以降の為替リスクの変化を分析しました。結果として、(1) FEFTA改正後、自動車企業の為替リスクへの曝露が有意に増加したこと、(2) ROEが高く、為替の変動が大きい企業は、効率的なオペレーショナルヘッジを通じてリスクを軽減できたこと、(3) 東南アジア諸国への販売や輸出が為替リスクを有意に低下させる要因であることが明らかになりました。これにより、アジア経済が為替自由化に向かう際の効率的なオペレーショナルおよび財務ヘッジの重要性が示され、特に請求通貨の選択がリスクに与える影響が強調されます。

JWE2025年9月1日

日本の高齢者における福祉受給が幸福感に与える影響

Effects of welfare receipt on well-being: Evidence from older people in Japan

Kodai Matsumoto

本研究は、公共扶助を受けることが日本の高齢者の幸福感にどのように影響するかを検証することを目的としています。特に、社会的依存に対する規範が形成されている場合、公共扶助の受給が幸福感を低下させる可能性があるため、この問題は重要です。本研究では、65歳以上の高齢者を対象とし、公共扶助が最小限である日本のデータを用いています。推定戦略としては、回帰分析を用い、性別や地域による違いを考慮しています。主な結果として、65歳以上の個人においては、公共扶助の受給が幸福感に与える負の影響は弱く、統計的に有意でないことが多いことが示されました。しかし、福祉給付は高齢男性には正の効果を持つ一方で、高齢女性には負の効果を及ぼすことが明らかになりました。また、働く世代においては地域差が見られましたが、高齢者層ではそのような差は見られませんでした。これらの結果は、公共扶助政策の設計において性別や地域の違いを考慮する必要性を示唆しています。

JWE2025年6月1日

産業生産のナウキャスティングモデルに関する訂正

Corrigendum to “A nowcasting model of industrial production using alternative data and machine learning approaches” [Jpn. World Econ. 71 (2024) 101271]

Kakuho Furukawa, Ryohei Hisano, Yukio Minoura ほか

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