The impact of news shock of the openings or expansions of large-scale semiconductor plants on local labour market in Japan
Yamaguchi Akira
本研究は、日本における大規模半導体工場の開設や拡張に関するニュースショックが地域の労働市場に与える因果効果を調査することを目的としています。このテーマは、地域経済における雇用創出のメカニズムを理解する上で重要です。データは都道府県レベルで収集され、差分の差分法(DiD)を用いて分析が行われました。対象期間は具体的には示されていませんが、工場の開設や拡張に関するニュースが発表された都道府県のデータが使用されています。著者らは、投資額が相対的に小さい対照群を設定し、エンドジニティの問題に対処しました。分析の結果、大規模半導体工場の開設や拡張に関するニュースショックは、新規求人倍率を0.05〜0.08ポイント有意に増加させることが明らかになりました。また、二方向固定効果モデル(TWFE)を用いた場合に生じる治療効果の異質性によるバイアスを克服するために、Callaway and Sant’AnnaのDiD手法を用いた分析でも同様の結果が得られました。本研究は、日本における大規模工場の開設が地域労働市場に与える影響に関する文献の中で、特に不足している知見を提供するものです。
The impact of accounting quality on investment efficiency: Evidence from the 2001 bank shareholding limitation act of Japan
Masahiro Enomoto, Boochun Jung, S. Ghon Rhee ほか
本研究は、会計品質が日本における投資効率に及ぼす影響を検証することを目的としている。特に、2001年に施行された銀行株式保有制限法以降の状況に焦点を当て、BiddleとHilary(2006)の研究を踏まえ、会計品質の役割が依然として重要であるかを探る。対象期間は1975年から2021年までで、データは日本の上場企業から収集された。推定戦略としては、回帰分析を用い、会計品質が投資効率に与える影響を定量的に評価した。結果として、2001年以降、会計品質の向上が投資効率の改善に寄与していることが明らかとなった。具体的には、会計品質が高い企業では過剰投資の傾向が減少し、投資効率が向上することが示された。特に、銀行からの資金調達が少ない企業や持ち合い株式が少ない企業において、この影響が顕著であった。これにより、会計品質の向上が企業の資源配分において重要な役割を果たすことが示され、政策立案者や企業経営者にとっての示唆を提供する。既存の研究との位置付けとしては、日本における会計品質の重要性を再評価するものとなっている。
Household spending responses to two-time COVID-19 payments
Kozo Ueda
本研究は、COVID-19パンデミック中に日本政府が実施した特別現金給付金(SCPs)が家計の支出に与える影響を分析し、限界消費性向(MPC)を推定することを目的としています。この研究は、2020年中頃に開始された第一波と、2021年末から2022年初頭にかけて提供された第二波のSCPsに対するMPCの安定性を調査しています。データは、日本の三大銀行の一つから取得した詳細な銀行取引データを使用し、推定には回帰分析を用いました。結果として、MPCは両波ともに約0.2で安定しており、個人の富が減少したり流動性制約が強まると、MPCが増加する傾向が見られました。また、家族の人数が多いほどMPCも増加することが示されています。これらの結果は、特別給付金の効果的な設計や経済政策における消費行動の理解に寄与するものです。
Automation and disappearing routine occupations in Japan
Shinnosuke Kikuchi, Ippei Fujiwara, Toyoichiro Shirota
本研究は、日本における自動化技術の影響を1980年以降にわたり検討し、異なる自動化の曝露度を持つ地域の労働市場を比較しています。このテーマは、労働市場の変化がどのように職業構造に影響を与えるかを理解する上で重要です。データは日本国内の地域別労働市場に基づき、1980年からの長期的な視点で分析されています。推定戦略としては、地域ごとの自動化の度合いに応じた労働市場の変化を定量的に評価するモデルを用いています。主な結果として、自動化は特定の人口グループ内での雇用率を減少させる証拠は見つからず、むしろ正規雇用から非正規雇用への移行を促進することが示されました。また、自動化は製造業のルーチン職からサービス業への雇用のシフトを引き起こし、製造業における事業所数や売上の増加を伴うことが明らかになりました。この労働需要の変化は、特に若年層や非大学卒の労働者に起因しているとされています。これらの結果は、労働市場の変化に対する政策的対応の必要性を示唆しており、特に教育や職業訓練の重要性が再認識されるべきです。
The effect of regional import shocks on job flows in Japanese manufacturing establishments
Masahiro Endoh
本研究は、中国ショックが日本の製造業における雇用フローに与える影響を検討することを目的としています。このテーマは、地域の輸入ショックが雇用の創出や喪失にどのように寄与するかを理解する上で重要です。研究では、2006年から2016年までの全日本の製造業の事業所データを用い、回帰分析を通じて業界レベルの輸入ショックが事業所の退出確率に与える影響を評価しました。結果として、業界レベルの輸入ショックは、特定のグループにおいてのみ退出確率を増加させることが明らかとなりました。特に、非集積地域に位置する単独の小規模事業所は、地域レベルの輸入ショックに対処するために「冬眠戦略」を採用しました。さらに、これらの生き残った事業所は、輸入ショックに応じて雇用の創出と喪失を加速させ、全体的な雇用フローの規模を拡大させました。これらの結果は、事業所レベルの観察と詳細な雇用フローの分類を用いたことによって得られました。
Peer effects on influenza vaccination: Evidence from a city's administrative data in Japan
Naomi Miyazato, Yoko Ibuka, Jun-ichi Itaya
本研究は、インフルエンザワクチン接種における周囲の接種状況が個人の接種行動に与える影響を、行政データを用いて実証的に分析することを目的としています。ワクチン接種は公共財であるため、フリーライダーのインセンティブから負のピア効果が予想される中、著者らは日本のある都市に住む高齢者全体を対象としたデータを使用しています。推定戦略として、固定効果分析と遅延従属変数を用い、さらに同居者の喪失が接種行動に与える影響とコミュニティのピア効果との相互作用を検討しています。分析の結果、コミュニティのワクチン接種率が高いほど、個人の接種率が上昇することが確認され、正のピア効果が示されました。これにより、地域社会の接種率向上が個人の接種行動を促進する可能性が示唆され、公共政策におけるワクチン接種促進の重要性が強調されます。
The impact of export controls on international trade: Evidence from the Japan–Korea trade dispute in semiconductor industry
Ryo Makioka, Hongyong Zhang
本研究は、2019年7月に日本政府が発表した韓国への半導体製造に必要な三つの化学物質の輸出規制が、貿易パターンに与える短期から中期の影響を探求しています。この問題は、半導体産業が国際経済において重要な役割を果たしているため、特に注目されます。データは日本と韓国間の貿易データを用い、規制対象の化学物質についての輸出入の変化を分析するために、差分の差分法を適用しました。対象期間は2019年から2020年までのデータです。研究の結果、輸出規制により、日本から韓国へのフッ化水素の輸出が大幅に減少した一方で、他の二つの化学物質、フォトレジストとフッ素ポリイミドについては影響が見られませんでした。また、韓国はフッ化水素の調達先を日本からベルギー、アメリカ、台湾など他の国に移行しました。さらに、半導体製造装置の韓国への輸入にも悪影響が及び、これは規制対象の化学物質と相補的に使用されるため、重要な示唆を提供します。これらの結果は、半導体産業における輸出規制が調達パターンや生産移転において重要な役割を果たす可能性を示唆しています。
Correction: Well-being paradox: comparing the age-happiness relationship across Japan, China, and the US
Takashi Oshio, Satoshi Shimizutani
アブストラクトを取得できていないため、要約は編集中です。原論文の本文は、出版社サイトのリンクからご確認いただけます。
National Transfer Accounts (NTA) in Japan: 1984−2014
Taiyo Fukai, Setsuya Fukuda, Hidehiko Ichimura ほか
本研究は、日本における国家移転勘定(NTA)の統計を1984年から2014年まで一貫して計算するための標準化された手法を開発し、この手法を用いてNTAの3つのアカウントの進化を分析しました。この研究の重要性は、NTAを用いた議論のための一貫した基盤を提供することにあります。データは日本のNTAに基づき、対象期間は1984年から2014年までの30年間です。著者らは、消費成長率が2004年以降に最も遅かった年齢層(23〜39歳)を特定しました。この年齢層は、他の年齢層に比べて労働所得の成長が高かったにもかかわらず、公共移転負担が大きいために消費成長が鈍化したと分析しています。この結果は、日本における結婚率や出生率の低下の潜在的な原因について新たな視点を提供します。さらに、著者らはNTAの推定手法や枠組みの改善の可能性についても議論しています。
The state of well-being of older people: a comparative study across developing Asia
Aiko Kikkawa, Martino Pelli, Lennart O. Reiners ほか
本研究は、発展途上アジアにおける高齢者の幸福度を測定する要因を探求し、従来の収入や貧困といった指標を超えた理解を目指しています。著者らは、中国、韓国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、バングラデシュ、インドの9カ国からなる高齢者の新しいデータセットを用い、生活満足度やメンタルヘルスのスクリーニングテストスコアを指標に幸福度の相関関係を分析しました。結果として、年齢は幸福度と正の相関を持ち、ほとんどの国で不幸度を負に予測することが確認されました。一方、性別、婚姻状況、教育水準、居住地域、生活形態といった他の人口統計的特徴は国によって一貫した関連性を示しませんでした。さらに、著者らは高齢者の幸福度に影響を与える4つの次元—仕事を通じた生産性、身体的健康と移動性の維持、退職後の経済的準備、家族や社会生活への積極的な関与—を特定しました。これらの要因が生活満足度の向上や抑うつ症状の軽減に寄与することが確認されましたが、国によってその関連性の方向性や強さは異なりました。全体として、地域内の高齢者には抑うつや孤独感が相対的に高く、特に高齢女性において幸福度の指標が低下する傾向が見られました。
An empirical study of the well-being of older individuals in China, Japan, and Korea
Selahattin İmrohoroğlu, Zhixiu Yu
本研究は、中国、日本、韓国における54歳から75歳の高齢者の幸福度に影響を与える要因を明らかにすることを目的としています。この研究は、Rand HRSに類似した調査であるCHARLS(中国)、JSTAR(日本)、KLoSA(韓国)を用いており、対象期間は各国の調査波を含んでいます。著者らは、主観的幸福度(SWB)に関連する経済的、社会的、人口統計的特性を考慮した国別および性別のパネル回帰分析を実施しました。分析の結果、教育、健康、雇用状況、社会的相互作用が、過去の研究と同様に、幸福度において重要な要因であることが確認されました。また、特に韓国では、最近の調査波において高齢者のSWBが2006年の初回波と比較して低下していることが示されました。さらに、国ごとの住宅資産、相対所得、生活満足度の要因に関して重要な違いが存在することが明らかになり、各国特有の幸福度の決定要因に関するさらなる研究が必要であることが示唆されています。
On the effectiveness of insurance mechanisms for older individuals in China
Jingyi Fang, Yasuyuki Sawada
本研究は、中国における高齢者の消費平準化が、健康ショックに対する保険メカニズムの効率性を示すかどうか、また市場および非市場の保険制度における最適性の程度を明らかにすることを目的としています。この問いは、特に高齢化が進む中国の社会において重要です。著者らは、中国健康と退職に関する縦断調査(CHARLS)の2011年、2013年、2015年、2018年のパネルデータを用いて、制度的および非公式な保険メカニズムの有効性を評価しました。分析の結果、基本的な必需品の消費は健康ショックに対して平準化される傾向が見られましたが、特に農村地域においては、健康ショックに伴う福祉コストが無視できないことが示されました。これにより、長期的な介護や年金制度、その他の社会的安全網の強化が必要であることが浮き彫りになりました。これらの結果は、消費がショックに対して堅牢である場合でも、福祉の向上に寄与する可能性があることを示唆しています。