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公開中の論文:278 件

JJIE2025年3月1日

日本における産業動向の変化がもたらす総合的影響

Aggregate implications of changing industrial trends in Japan

Toyoichiro Shirota, Satoshi Tsuchida

本研究は、日本のGDP成長率の長期的な低下傾向が、全産業に共通する要因によるものか、あるいは個別の産業特有の要因によるものかを検討しています。この問題は、日本経済の持続的成長に関する理解を深めるために重要です。研究では、1958年から2019年までの日本のデータを用い、マルチ産業ネットワークモデルを適用しました。分析の結果、共通要因が日本の長期的なGDP成長率の変動の約60%を説明していることが明らかになりました。この数値は、米国における共通要因の寄与が約20%であることと対照的です。しかし、産業特有の要因も無視できない影響を持ち、特に機械産業に関連する要因が過去20年間の低成長を大きく説明しています。さらに、個別産業から全体のGDPへの波及効果は、各産業の生産および投資ネットワークにおける役割に依存し、日本では機械産業や建設業などの投資関連産業の影響が顕著であることが示されました。

JJIE2025年3月1日

日本の国際貿易における企業のパフォーマンスと集中度の分析

Margins, concentration, and the performance of firms in international trade: Evidence from Japanese customs data

Keiko Ito, Masahiro Endoh, Naoto Jinji ほか

本研究は、日本の関税データを用いて2014年から2020年にかけての国際貿易を企業レベルで包括的に調査した初めての試みである。研究のリサーチクエスチョンは、貿易の集中度が企業のパフォーマンスに与える影響を明らかにすることであり、これは日本経済の国際競争力を理解する上で重要である。データは日本の関税データに基づき、貿易の集中的および拡張的マージンを分解し、貿易企業の集中度を評価した。推定戦略としては、関税データと他の企業レベルのデータセットをマッチングし、輸出企業のパフォーマンスプレミアを推定した。主な結果として、2017年には上位10%の輸出企業が全体の96.6%の輸出を占め、上位10%の輸入企業が94.6%の輸入を担っていることが示された。また、輸出製造業者は、売上、付加価値、従業員数、資本労働比率、生産性、賃金の全ての面で非輸出製造業者を上回ることが確認された。特に、付加価値や労働生産性に関する輸出企業のプレミアは2014年から2016年にかけて減少し、その後2019年まで増加したことが注目される。この研究は、日本の国際貿易における企業のパフォーマンスと集中度の関係を明らかにし、政策立案や経済戦略における重要な知見を提供するものである。

JJIE2025年3月1日

日本企業における取締役会のジェンダー多様性とトークン主義

Tokenism in gender diversity on board of directors

Kan Nakajima, Yoko Shirasu, Eiji Kodera

本研究は、日本企業における取締役会のジェンダー多様性に関連するトークン主義の存在を検証することを目的としています。特に、企業統治改革の一環として導入された「日本のコーポレートガバナンス・コード」によって、女性の外部取締役の任命においてトークン主義が生じる可能性があるため、その重要性が増しています。データは、コーポレートガバナンス・コード導入後の日本企業を対象としており、特に女性外部取締役の任命に焦点を当てています。推定戦略としては、トークン主義の発生を確認するための実証分析が行われました。分析の結果、コード導入当初において、企業は形式的要件を満たすために、まず男性の外部取締役を任命し、その後に女性の取締役をトークンとして任命する傾向が見られました。しかし、経験豊富な女性取締役が任命される場合にはトークン主義は観察されず、これは彼女たちが専門知識やスキルを持つためと考えられます。この結果は、企業におけるジェンダー多様性の問題に対する新たな視点を提供し、今後の政策形成においても重要な示唆を与えています。

JJIE2025年3月1日

日本における金融政策ショックの伝播メカニズム

The transmission of monetary policy shocks: Evidence from Japan

Ritsu Yano, Yoshiyuki Nakazono, Kento Tango

本研究は、日本における金融政策ショックの伝播メカニズムを明らかにすることを目的としている。特に、金融政策の予測が日本銀行のマクロ経済予測と無関係であることを示し、情報ショックの影響を考慮することが重要である。データは日本のマクロ経済指標を用い、推定戦略としてはMiranda-AgrippinoとRicco(2021)の手法を採用している。対象期間は具体的に示されていないが、近年のデータを基にしていると考えられる。主な結果として、予想外の政策引き締めは出力を悪化させ、価格を下落させることが確認された。また、インフレに対する遅延効果は見られず、引き締めショックに対しては価格が即座に下落することが示された。さらに、中央銀行の情報ショックが出力と価格の両方を増加させることも確認され、特に日本銀行からの楽観的な見通しが株価を上昇させ、円を減価させることが明らかになった。これらの結果は、効果的下限においても情報効果が日本経済において重要な役割を果たしていることを示唆している。

JER2025年2月20日

日本における所得と資産の不平等の長期的動向(1984–2019)

Earnings, income, and wealth inequality in Japan: a long-term perspective, 1984–2019

Sagiri Kitao, Tomoaki Yamada

本研究は、1984年から2019年にかけての日本における世帯の所得、収入、資産の不平等の動向を分析しています。このテーマは、経済政策や社会保障制度の設計において重要であり、特に高齢化社会における不平等の影響を理解するために不可欠です。データは日本の世帯調査に基づいており、対象期間は35年間にわたります。著者らは、収入と資産の不平等の推定には回帰分析を用い、特に高齢者世帯の割合の変化が不平等に与える影響を検討しました。主な結果として、収入と資産の不平等は過去数十年で増加しており、特に収入の不平等は高齢化が主な要因であることが示されています。また、資産の不平等は全体的に見られるだけでなく、若年層の間でも顕著であり、極端に低い資産を持つ世帯の増加が大きな要因とされています。この研究は、高齢化や世帯構造の変化、経済のマクロ的な動向が不平等に与える影響を明らかにし、今後の政策立案における重要な示唆を提供しています。

JER2025年2月17日

日本におけるライフサイクルの生産性と金利への影響

Productivity over the life-cycle and its effect on the interest rate

Momo Komatsu, David Murakami, Ivan Shchapov

本研究は、日本における生産性の変化、人口動態の変化、金利との関係を探求します。日本は急速な高齢化、持続的な低金利、成長の停滞、デフレに直面しており、特に若年層と高齢者の生産性の収束が進んでいます。この問題は、経済政策において重要な意味を持ちます。著者らは、重複世代の二エージェント新ケインジアン(OTANK)DSGEモデルを用いて、1990年代以降の日本のデータを分析しました。主な結果として、若年層と高齢者の生産性の格差が縮小することで金利に上昇圧力がかかる一方で、長寿命化や人口減少が金利に下方圧力を与えることが示されました。特に、後者の効果が優勢であることが確認され、中央銀行がこれを考慮しない場合、デフレ圧力を引き起こす可能性があります。政策的には、労働者のライフサイクル全体にわたる生産性向上や、若年層と高齢者の生産性格差を埋めることが、金利の低下を緩和する手段となることが示唆されます。

JER2025年2月13日

家族政策のマクロ経済的および福祉的効果:現金給付と現物給付の比較

Macroeconomic and welfare effects of family policy: cash transfers vs in-kind benefits

Reona Hagiwara

本研究は、先進国、特に日本において重要な課題である出生率の向上を目的とし、現金給付(CB)と現物給付(IB)の二つの育児政策が出生率、労働供給、福祉に与える影響を比較・評価します。著者は日本経済における内生的な出生率を考慮した一般均衡オーバーラッピング世代モデルを開発し、単身世帯と既婚世帯の両方を含めて分析を行いました。モデルでは、既婚カップルが直面する子供の数量と質、育児時間と労働時間のトレードオフを考慮しています。シミュレーションの結果、両方の育児給付が出生率を向上させることが示され、人口動態の変化は将来の世帯に対する福祉の向上をもたらすことが確認されました。特にIBは女性の労働供給を増加させるため、これらのポジティブな効果はIBの方が大きいとされています。教育水準が高く子供を持つ機会費用が高いカップルにとってはIBが、教育水準が低いカップルにとってはCBがより効果的であることが示唆されています。

JER2025年2月6日

日本における財政持続可能性と市場の不完全性

Fiscal sustainability and market incompleteness: quantitative findings for Japan

Selahattin İmrohoroğlu, Akio Ino

本研究は、Hansenとİmrohoroğluによる財政持続可能性の分析を、Aiyagariの不完全市場モデルを用いて再検討しています。この研究の重要性は、日本の財政政策が持続可能であるかどうかを評価するために、異なる市場構造がどのように影響を与えるかを明らかにする点にあります。データは日本の経済に基づき、モデルは同じデータモーメントにキャリブレーションされています。研究では、完全市場と不完全市場のモデルを比較し、税率の必要な増加量が両者で類似していることを示していますが、市場構造の違いによる均衡配分への影響は大きいことが分かりました。また、労働供給の弾力性は配分に影響を与えますが、税率の増加にはあまり関係しないことが示されています。消費税や労働所得税の使用が均衡配分に影響を及ぼしますが、税率の増加にはあまり影響しないことも明らかになりました。最後に、資本所得税のみを用いて財政持続可能性を達成することは現実的ではないと結論付けています。

JER2025年1月20日

COVID-19ワクチン接種における金銭的インセンティブの影響

Would monetary incentives to COVID-19 vaccination reduce motivation?

Eiji Yamamura, Yoshiro Tsutsui, Fumio Ohtake

本研究は、COVID-19ワクチン接種に対する金銭的インセンティブが個人の接種意欲に与える影響を探求することを目的としています。ワクチンが無償で提供されているにもかかわらず接種しない人々が存在する中で、金銭的インセンティブがどのように接種意欲を変化させるかを明らかにすることは、公共政策において重要な課題です。著者らは、オンライン調査から得たパネルデータを用いて、個人の特性によるインセンティブの効果の変動を分析しました。研究の結果、まず、補助金が接種意欲を減少させる一方で、個人の特性を考慮に入れると接種意欲が増加することが示されました。次に、接種に対する社会的イメージが強いほど、金銭的インセンティブが低下することが明らかになりました。最後に、未接種者は大きな補助金が提供されない限り、接種の意欲を持ち続けることはないとされました。これらの結果は、ワクチン接種促進のための政策設計において、個人の特性や社会的背景を考慮する必要性を示唆しています。

JER2024年12月18日

ハイパーボリック割引を用いた動的離散選択モデルの同定

Identifying dynamic discrete choice models with hyperbolic discounting

Taiga Tsubota

本研究は、ハイパーボリック割引を用いた動的離散選択モデルの同定に関するものであり、これは経済学における意思決定の理解に重要な役割を果たす。著者らは、有限の時間枠を持つモデルにおいて、観察された条件付き選択確率と遷移確率から、標準の割引因子、現在バイアス因子、そして洗練されたエージェントの瞬時効用関数がポイント同定されることを示している。データは、観察された条件付き選択確率の時間における変動を利用することによって同定を達成するというアイデアに基づいている。推定方法を提示し、シミュレーションによって推定量の良好な性能を実証している。これにより、動的選択モデルの同定における新たなアプローチが提供され、理論的な枠組みを強化する可能性がある。

JER2024年12月11日

二重水平差別化デュオポリー市場における価格差別

Price discrimination in a double horizontal differentiated duopoly market

Halvor Mehlum

本研究は、二重水平差別化モデルを用いて、デュオポリー市場における価格差別の均衡がどのように成立するかを探求します。このテーマは、コストと需要が対称的であっても、価格差別が市場の均衡状態において重要な役割を果たす可能性があるため、経済学における競争戦略の理解を深める上で意義があります。著者は、消費者が各企業と製品に対して持つ好みを考慮し、消費者が価格差に応じて製品や企業を切り替える可能性を示唆しています。モデルでは、消費者が完全な価格情報を持ち、特定の消費者層が価格に対して特に敏感である場合に、価格差別の均衡が成立することが示されています。結果として、価格差別が存在する条件として、消費者の中に価格に敏感なサブセットが必要であることが明らかになりました。この研究は、価格差別が競争戦略に与える影響を示し、企業の価格設定戦略や市場競争の理論的枠組みへの新たな視点を提供します。