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公開中の論文:278 件

JWE2024年3月1日

日本における人口変動が自然利子率に与える影響

The impact of demographic change on the natural rate of interest in Japan

Fei Han

本研究は、日本における人口変動が自然利子率に与える影響を推定するための半構造モデルを開発し、その重要性を探ります。人口変動は、潜在的成長率の低下を通じて自然利子率に対して有意に負の影響を及ぼすことが明らかになりました。データは日本の人口動態に基づき、過去数十年にわたる期間を対象としています。推定の結果、人口変動の負の影響は時間とともに増加しており、特に強い人口の逆風の中でその傾向が顕著です。具体的には、自然利子率の低下は日本銀行の経済再膨張の努力に対して挑戦をもたらす可能性があります。これらの結果は、人口による負の影響を相殺し、自然利子率を引き上げるために、日本の潜在成長を促進する施策が必要であることを示唆しています。

JWE2024年3月1日

日本の工業プラントにおけるフィードインタリフ免除の電力消費への影響

Impact of the feed-in-tariff exemption on energy consumption in Japanese industrial plants

Aline Mortha, Naonari Yajima, Toshi H. Arimura

本研究は、日本における再生可能エネルギーの導入促進を目的としたフィードインタリフ政策の免除制度が、工業プラントの電力および化石燃料消費に与える影響を評価します。この研究は、2005年から2018年までの月次プラントレベルデータを用いており、対象は鉄鋼、化学製品、パルプ・紙の各セクターです。著者らは、免除を受けた鉄鋼プラントが2017年以降に電力購入を18.62%、消費を17.88%減少させたことを明らかにしました。この減少は、2017年以降に導入された電力効率基準によるものと考えられます。一方、化学およびパルプ・紙セクターにはこの改訂が影響を及ぼさなかったことも指摘されています。このことから、全セクターにおける電力消費の減少を確保するためには、より強力な効率基準が必要であると示唆されます。さらに、鉄鋼セクターにおける電力消費の減少により、約700万トンのCO2排出が回避されたと推定されています。

JWE2024年3月1日

黒田バズーカが日本の家計の借入意欲に与える影響

Impact of the Kuroda Bazooka on Japanese households’ borrowing intentions

Hiroshi Gunji

本研究は、2014年10月31日に日本銀行が発表した金融政策、いわゆる「黒田バズーカ」が家計の借入意欲に与える影響を検討しています。この政策は民間セクターにとって予想外のものであり、外生的ショックとして捉えることができます。著者らは、医療分野でよく用いられる中断時系列分析を用いて、黒田バズーカの効果を推定しました。分析対象は、政策発表前後のデータであり、結果として黒田バズーカは家計の借入意欲を約10%増加させることが示されました。この結果は、家計の総借入には大きな変化が見られなかったものの、借入意欲に変化があったことを示唆しています。したがって、単に期待を変えるだけの金融政策は、必ずしも効果的ではない可能性があります。

JWE2024年3月1日

1977年から2020年における日本の銀行貸出市場の競争力の変遷

How competitiveness evolved in the Japanese bank loan market between 1977 and 2020

Tomoya Maruyama

本研究は、日本の銀行貸出市場における競争の度合いを、1977年から2020年までの長期にわたって評価することを目的としています。このテーマは、日本経済の金融システムの変化を理解する上で重要です。データは日本の銀行貸出市場から収集され、特に2000年以前の金融規制緩和の影響を考慮しています。推定戦略としては、新しい実証産業組織手法を用い、需要関数に回転項を導入したモデルを採用しています。主な結果として、1980年頃に日本の貸出市場は最も競争が少なく、その後競争が強まったことが示されています。また、2000年以降は特に全国的な存在感を持つ大都市銀行間で競争が一般的に増加しました。市場集中度、競争度、コスト効率の相関分析からは、2000年頃を除いて効率的構造仮説と一致する結果が得られました。1990年代には市場力仮説と一致する結果が見られましたが、その後は一致しなくなっています。これらの結果は、日本の銀行貸出市場の競争の進展を理解するための理論的および政策的な示唆を提供します。

JWE2024年3月1日

国際ビジネスサイクルの同期化に関する総合的評価

International business cycle synchronization: A synthetic assessment

Hyun-Hoon Lee, Cyn-Young Park, Ju Hyun Pyun

本研究は、国際ビジネスサイクルの同期化に関する主要な伝達チャネルである二国間貿易、外国直接投資(FDI)、およびポートフォリオ投資の流れを、国・時間の異質性を考慮しながら総合的に評価します。この研究は、2004年から2019年までの65カ国のデータを用いており、複数の固定効果を導入した推定戦略を採用しています。主な結果として、実体経済と金融の統合がビジネスサイクルの共動に異質な影響を与えることが示されました。特に、中間財貿易を通じた貿易統合がビジネスサイクルの同期化を促進し、その影響は世界金融危機以降に顕著になっています。これは、産業内貿易の深化やグローバルバリューチェーンの密度の向上によるものと考えられます。また、グリーンフィールドFDIは、時間的遅れを考慮することでビジネスサイクルの同期化を引き起こすことがわかりました。短期債務市場の統合が進むほど、ビジネスサイクルの共動がより同期することも示されており、バランスシート効果や関連する信用サイクルがビジネスサイクルの共動に影響を与えることを示唆しています。

JWE2024年3月1日

中国における業績フィードバックとM&Aの関係性

Performance feedback on sales growth and M&A: Evidence from China

Jianquan Guo, He Cheng

本研究は、企業の業績フィードバックが、社会的および歴史的な期待に対する売上成長に与える影響が、企業の合併・買収(M&A)決定やそのパフォーマンスにどのように関連するかを検討しています。このテーマは、企業の意思決定における心理的要因の理解を深める上で重要です。対象データは、2006年1月から2022年6月までに発表された中国の製造業者による924件のM&A取引であり、ロジスティック回帰分析と重回帰分析を用いて評価されています。さらに、主な結果の一貫性を確認するためのロバストネステストも実施されています。結果として、社会的期待に対するネガティブな業績フィードバックは、買収者が海外ターゲットを選択したり、非繰延支払いを用いるなど、リスクを取る決定を促進することが明らかになりました。一方で、歴史的業績フィードバックは、繰延契約構造を選択する傾向を強めることが示されています。また、M&Aパフォーマンスに関しては、社会的期待に対するネガティブおよびポジティブな業績フィードバックが両方ともプラスの影響を与える一方で、歴史的フィードバックはM&Aパフォーマンスに影響を与えないことが確認されました。本研究は、業績フィードバックの効果の異質性を明らかにし、企業行動に関する行動理論やスチュワードシップ理論に貢献しています。

JWE2024年3月1日

持続可能な企業はより革新的か?中国の事例

Are sustainable firms more innovative? The case of China

Kohei Mitsunami, Miwa Nakai

本研究は、企業の社会的責任(CSR)がイノベーション成果に与える影響を、中国における具体的な事例を通じて探求することを目的としています。CSRの影響はビジネスや市場パフォーマンスにおいて注目されていますが、イノベーションに関する研究は十分ではありません。本研究では、Orbisからの特許情報とRefinitivからのCSR測定値を用いて、企業のイノベーションの決定要因を実証的に分析しています。対象期間は明示されていませんが、得られたデータからCSRとイノベーション成果、特に特許出願数や特許取得数との間に正の関係があることが確認されました。これは先進国における結果とも一致しています。さらに、中国の経済政策や政府との関係がイノベーションパフォーマンスに与える影響についての新たな知見も提供されており、特に国有企業はもはやイノベーションにおいて相対的な優位性を持たないことが示されています。

JJIE2024年3月1日

銀行支店・ATM統合が現金需要に与える影響の分析

Effects of bank branch/ATM consolidations on cash demand: Evidence from bank account transaction data in Japan

Kozo Ueda

本研究は、銀行支店やATMの統合が現金需要に与える影響を検討し、特に利用者の利便性の低下がどのように現金引き出しに影響するかを明らかにします。このテーマは、現金取引の減少が経済活動に及ぼす影響を理解する上で重要です。データは日本の銀行口座取引データを用い、支店やATMの統合が実施された時期を自然実験として捉えています。分析対象は、統合前後の利用者の取引履歴であり、特に高齢者や低所得者層がどの程度影響を受けたかを明らかにすることを目指しています。結果として、支店・ATMの統合により、過去の利用者の現金引き出し額は大幅に減少し、特に高齢者や富裕層で顕著でした。さらに、現金取引だけでなく、非現金取引を含む総支出や流入もほぼ同程度に減少したことから、利便性の低下が利用者を他の銀行へ移行させる要因となった可能性が示唆されます。これにより、現金需要の変化が銀行業界や経済全体に与える影響についての理解が深まります。

JJIE2024年3月1日

日本における性別と産業別の労働者の流動性

Worker flows by gender and industry in Japan

Tetsuaki Takano

本研究は、日本における労働者の流動性の特性を性別および産業の視点から分析することを目的としている。特に、2000年代後半以降のグローバル金融危機(GFC)、アベノミクス、COVID-19危機における失業率の変動が性別および産業によって不均一であったことに注目している。この問題は、労働市場の構造的変化や政策の効果を理解する上で重要である。データは労働力調査からの月次データを使用し、対象期間は主に2000年代後半から2020年までである。推定戦略としては、労働者の流動性を測定するために移行確率を分析するモデルを採用している。主な結果として、COVID-19危機においては、雇用から非活動への移行確率がGFCの期間と比較して急増し、特にサービス業に従事する女性において顕著であった。また、男女ともに2018年頃まで失業の動態に対する流入の寄与が増加しており、アベノミクス期間中の失業率の低下は、離職率の減少によって説明できることが示された。これらの結果は、労働市場における性別および産業別の動向を理解するための重要な知見を提供し、政策立案においても考慮すべき要素を示唆している。

JJIE2024年3月1日

暗号資産のリスク対応策:禁止、抑制、規制の選択

Tackling the risks in crypto: Choosing among bans, containment and regulation

Matteo Aquilina, Jon Frost, Andreas Schrimpf

本研究は、暗号資産市場におけるリスクに対する適切な政策対応を検討することを目的としています。特に、暗号資産が伝統的金融と同様の脆弱性を持ち、その特性によってリスクが悪化することが重要な問題として浮上しています。著者らは、リスクに対処するための異なるアプローチとして、禁止、抑制、規制の三つを提案し、それぞれの利点と欠点を明らかにします。データは主に国際的な暗号資産市場の事例を基にしており、日本の先進的な取り組みも紹介されます。結果として、各アプローチの適用場面を特定するためのフレームワークが提案され、中央銀行や公的機関が伝統的金融を魅力的にすることで、責任あるイノベーションを促進できる可能性が示唆されています。

JJIE2024年3月1日

ゼロ金利制約下における公共投資が株式市場に与える影響:日本の産業別証拠

Stock market response to public investment under the zero lower bound: Cross-industry evidence from Japan

Tomomi Miyazaki, Kazuki Hiraga, Masafumi Kozuka

本研究は、ゼロ金利制約(ZLB)と非ZLB期間における公共投資が株式市場に与える影響を、日本の産業別パネルデータを用いて検討しています。このテーマは、経済が流動性の罠にある際に、政府の公共投資が株式市場を刺激する可能性を理解する上で重要です。データは日本の産業別パネルを用い、対象期間はZLBと非ZLBの両方にわたります。推定戦略としては、インパルス応答関数を用いて公共投資ショックの影響を評価しています。主な結果として、ZLB期間中には公共投資ショックが株式リターンに対して刺激的な効果を持つことが示されましたが、非ZLB期間ではその効果は見られません。特に製造業においては、モデルの仕様にかかわらず、ポジティブで有意な応答が観察されました。これらの結果は、政府がZLB下で公共投資を増加させることが株式市場を支えるために推奨される一方、経済が流動性の罠から脱出した際には公共投資を削減するべきであることを示唆しています。

JJIE2024年3月1日

COVID-19による学生の学習とスクリーンタイムの不平等:日本の事例

Inequalities in student learning and screen time due to COVID-19: Evidence from Japan

Masaya Nishihata, Yohei Kobayashi

本研究は、COVID-19に関連する学校閉鎖が学生の学習時間とスクリーンタイムに与える影響を検討しています。この問題は、特に教育格差が拡大する可能性があるため重要です。データは、日本における2020年1月から5月の期間に収集され、低所得家庭、学業成績が低い学生、及びシングルペアレント家庭に住む小学生に焦点を当てています。推定戦略としては、学校閉鎖の長さが学習時間の減少とスクリーンタイムの増加に与える影響を分析しています。結果として、学校閉鎖が長引くほど、学習時間は減少し、スクリーンタイムは増加することが明らかになりました。特に、低所得家庭や学業成績が低い学生、シングルペアレント家庭の小学生において、この悪影響が顕著であることが示されました。また、シングルペアレント家庭の小学生に関しては、2021年1月までその悪影響が持続する可能性があることも指摘されています。中学生においては、ライブオンライン授業が学習時間の減少に対する緩和効果を持つ一方で、学業成績が低い学生にはその効果が見られないことが分かりました。これらの結果は、教育政策の見直しや支援の必要性を示唆しています。